宇多津(読み)ウタヅ

デジタル大辞泉 「宇多津」の意味・読み・例文・類語

うたづ【宇多津】

香川県中部、綾歌あやうた郡の地名坂出市の西にある港町瀬戸大橋線開通に伴い、広大な塩田跡地にJR宇多津駅が移転、高架化された。

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日本歴史地名大系 「宇多津」の解説

宇多津
うたづ

備讃瀬戸の中央、塩飽しわく諸島を正面に望む宇多津市街地の北にあり、大束だいそく川の河口に開けた古代以来の湊。津名鵜足うた郡の郡名に由来し、鵜足津・宇足津とも記され、歌津・宇田津などの用例もある。

紀州高野山の道範の「南海流浪記」仁治四年(一二四三)二月一四日条に、国府(現坂出市)から二里離れた守護所より鵜足津の橘高能という御家人に預けられ、翌日在家から五、六町ほど上った寺に移されたとあり、当津に守護所が置かれていた。当津は大束川水系および土器どき川左岸に開けていた庄園からの年貢米や特産品などを積出す湊として発展したと推定される。また軍事的にも要衝であった。「太平記」巻七によれば元弘三年(一三三三)閏二月、土居・高能などの伊予河野氏一族が宮方にくみし、その軍勢六千余騎を「宇多津・今張ノ湊に舟ヲソロヘ」四国・九州を風靡したとあり、津としての発展も知られる。南北朝時代、初代守護細川顕氏は亡父頼貞の菩提寺として当地に長興ちようこう寺を建立しており、貞治元年(一三六二)細川清氏と対戦した細川頼之の拠城が当地にあり(「太平記」巻三八)、細川氏も当地に守護所を置いたと考えられる。康応元年(一三八九)将軍足利義満は安芸厳島に詣でたが、その往復の途次、二度とも当地に寄り細川頼之に会った。随行した今川了俊の「鹿苑院殿厳島詣記」に「此処のかたちは、北にむかひてなぎさにそひて海人の家々ならべり、ひむがしは野山のおのへ北ざまに長くみえたり、磯ぎはにつゞきて古たる松がえなどむろの木にならびたり、寺々の軒ばほのかにみゆ」と記される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇多津」の意味・わかりやすい解説

宇多津(町)
うたづ

香川県中部、綾歌(あやうた)郡にある町。丸亀市と坂出(さかいで)市に挟まれた、県下最小の町。1898年(明治31)町制施行。1955年(昭和30)飯野村の一部を編入。平安時代からの港町で、江戸時代には高松藩の米倉が置かれ、また金毘羅参詣(こんぴらさんけい)の上陸地としてにぎわった。古い郡名鵜足(うたり)郡の津の意で、古くは鵜足津(うたづ)とよばれた。JR予讃(よさん)線、国道11号が通じる。ビュート(頂上の平らな孤立丘)の角山(つのやま)、青ノ山の間を流れる大束(だいそく)川によって形成された三角州上にあり、沿岸部には塩田があったが、1971年(昭和46)製塩法の変換により廃止された。広大な跡地には、1988年に開通したJR瀬戸大橋線のターミナル駅が置かれた。また、周辺は新宇多津都市として開発され、商業、工業の発展が著しい。農業では、水稲を主に麦、野菜などの二毛作中心とした小規模兼業農家が大半を占める。

 文化財として四国八十八か所の第78番札所郷照(ごうしょう)寺、聖通寺の千手観音(国の重要文化財)などがある。面積8.10平方キロメートル、人口1万8699(2020)。

[稲田道彦]

『『新宇多津町誌』(1982・宇多津町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「宇多津」の意味・わかりやすい解説

宇多津[町] (うたづ)

香川県中央部,瀬戸内海に面する綾歌郡の町。人口1万8434(2005)。宇多津の名は旧郡名である鵜足(うたり)郡の船着場〈鵜足の津〉に由来する。室町時代に管領細川頼之の居館が置かれ,讃岐の政治の中心地となり,港の整備も進み,数多くの寺院も建立された。江戸時代は金毘羅参詣者の上陸地の一つで,高松藩の藩倉が置かれ,経済の中心地ともなった。明治以降塩田の町として栄えたが,1971年塩田は廃され,広大な跡地には都市施設などが建設され,四国の玄関口としての発展が期待されている。宇多津駅で予讃線から瀬戸大橋線が分岐する。番の州工業地域の一部をなし,化学工場などの大企業が立地する。農業は果樹,蔬菜,施設園芸などの都市近郊農業が主である。四国八十八ヵ所78番札所郷照寺がある。
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百科事典マイペディア 「宇多津」の意味・わかりやすい解説

宇多津[町]【うたづ】

香川県綾歌(あやうた)郡,瀬戸内海に面する町。中心は古い港町で,かつて高松藩の米倉があり,金刀比羅(ことひら)宮参拝客の上陸地であった。明治以降製塩の町として栄えたが,1971年塩田が廃され,跡地では宇多津駅を中心とする都市開発が進む。予讃線,瀬戸大橋線が通じる。8.10km2。1万8434人(2010)。

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