麻薬取締法(読み)マヤクトリシマリホウ

デジタル大辞泉 「麻薬取締法」の意味・読み・例文・類語

まやく‐とりしまりほう〔‐とりしまりハフ〕【麻薬取締法】

麻薬及び向精神薬取締法」の通称旧称

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精選版 日本国語大辞典 「麻薬取締法」の意味・読み・例文・類語

まやく‐とりしまりほう‥とりしまりハフ【麻薬取締法】

  1. 〘 名詞 〙 麻薬向精神薬輸入、輸出、製造製剤譲渡等の取締りと麻薬中毒者への必要な医療措置を定めた法律。昭和二八年(一九五三制定の「麻薬取締法」を平成二年(一九九〇)「麻薬及び向精神薬取締法」に改めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「麻薬取締法」の意味・わかりやすい解説

麻薬取締法
まやくとりしまりほう

麻薬および向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬および向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする法律。正式名称は「麻薬及び向精神薬取締法」(昭和28年法律第14号)。かつては、正式名称も「麻薬取締法」であったが、1990年(平成2)の改正により、従来からの麻薬のほか、向精神薬も取締りの対象とするとともに、名称も現在のように改められた。第1章「総則」、第2章「麻薬に関する取締り」、第3章「向精神薬に関する取締り」、第3章の2「麻薬向精神薬原料に関する届出等」、第4章「監督」、第5章「麻薬中毒者に対する措置等」、第6章「雑則」、第7章「罰則」からなる。本法の対象となる麻薬には、たとえばモルヒネヘロインLSDなどがある(なお、麻薬原料植物のうち、「コカ樹」の栽培もこれに含まれる)。麻薬は鎮痛作用や麻酔作用をもち医薬学上必要不可欠であるが、これを常用すると習慣性や依存性を生じ、いわゆる禁断症状を伴う場合が多いため、心身に著しい障害をもたらし、他人を殺傷する事件にも発展する危険性を有する。これに対して、向精神薬とは、中枢神経系に作用して精神の機能に影響を与える薬物総称で、心の病気の治療などに使われる。うつの症状を治す抗うつ薬、不安を抑える抗不安薬、躁(そう)の状態を抑える抗躁薬、意欲や覚醒を促す中枢刺激薬、睡眠薬などがある。向精神薬は、麻薬ほどではないが、習慣性や依存性を有することが指摘されてきたが、現在では、このような危険性が少ない薬が開発されたことにより、医師の説明、指示通りに服用すれば安全であるとされる。なお、本法に違反する場合には、麻薬取締官、麻薬取締員などによる取締りの対象とされ、無期懲役を最高刑として、重く刑罰に処される。

[名和鐵郎]

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百科事典マイペディア 「麻薬取締法」の意味・わかりやすい解説

麻薬取締法【まやくとりしまりほう】

麻薬の取締と麻薬中毒(麻薬,タイマまたはアヘンの慢性中毒)者について必要な措置を定めた法律(1953年公布)。麻薬の輸出入,製造,譲渡し,譲受け,所持,施用,麻薬原料植物の栽培等を規制し,麻薬中毒者に対する入院等の措置および麻薬取締官(厚生省),麻薬取締員(都道府県)の設置,職務を規定。向精神薬条約(1988年)批准のために1990年〈麻薬及び向精神薬取締法〉と改称し,規制対象に向精神薬を加えた。さらに,1991年にいわゆる麻薬2法(麻薬及び向精神薬取締法等の一部改正と国際的な薬物規制の協力についての法律)が制定され,薬物犯罪の取締りが強化された。
→関連項目アヘン(阿片)向精神薬大麻取締法

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世界大百科事典(旧版)内の麻薬取締法の言及

【おとり捜査】より

…捜査機関またはその協力者(おとり)が犯罪を犯しそうな者に接近して犯罪に導き,犯罪の実行をまってこれを捕らえる捜査方法。従来,日本では,ヨーロッパ諸国にならって,おとりを教唆犯として罰しうるかという点のみが問題とされ(アジャン・プロボカトゥールagent provocateur(〈教唆する刑事巡査〉)の問題),犯罪実行者は当然罰しうるとされていた。しかし,国家がみずから犯人を作り出しながらこれを捕らえて罰するというのは不公正の感を免れず,アメリカでは犯罪実行者の処罰自体を問題にする(わな(エントラップメントentrapment)の理論)。…

【麻薬】より

… 一方,行政的,法律的には,薬理学的規定とは若干異なり,国際的には〈1961年の麻薬に関する単一条約〉に規定されている薬物をいい,上記の薬理学的麻薬のほか,コカイン,大麻およびその抽出成分が含まれる。日本では,麻薬取締法,あへん法によって規制されている薬物を狭義の麻薬とし,さらに大麻取締法によって規制された薬物を含めて,広義の麻薬としている。一般には,これら法的に定められたものが麻薬とされている。…

※「麻薬取締法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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