黄丹(読み)オウニ

デジタル大辞泉 「黄丹」の意味・読み・例文・類語

おう‐に〔ワウ‐〕【黄丹】

染め色の名。梔子くちなし紅花べにばなとで染めた赤みの多い黄色。皇太子ほうの色とされ、禁色きんじき一つであった。おうだん

おう‐だん〔ワウ‐〕【黄丹】

おうに(黄丹)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「黄丹」の意味・読み・例文・類語

おう‐だんワウ‥【黄丹】

  1. 〘 名詞 〙 染色一種。赤みの多い黄色。クチナシベニバナとで染めたもの。古来、皇太子の袍(ほう)の色で禁色(きんじき)の一つであった。おうに。きあか。
    1. [初出の実例]「黄丹綾一疋、紅花大十斤八両、支子一斗二升、酢一斗、麩五升、藁四囲、薪一百八十斤」(出典:延喜式(927)一四)
    2. [その他の文献]〔文明本節用集(室町中)〕

おう‐にワウ‥【黄丹】

  1. 〘 名詞 〙おうだん(黄丹)

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色名がわかる辞典 「黄丹」の解説

おうに【黄丹】

色名の一つ。「おうたん」とも読む。JISの色彩規格では「つよい黄赤」としている。一般に、やや黄色みがかった丹色のこと。だいだいに近い。クチナシベニバナを重ね染めした色で歴史が古く、『延喜式えんぎしき』に記載がある。皇太子が着用するほうの色とされ、禁色きんじきであった。現代の身近な例ではひな人形にみることができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄丹」の意味・わかりやすい解説

黄丹(おうに)
おうに

染色の名。「おうだん」ともいう。赤みのある黄色で、天皇の黄櫨染(こうろぜん)とともに太陽の色を象徴するとし、皇太子の位を表す色。養老(ようろう)の衣服令「皇太子礼服」の項に黄丹衣とあり、平安時代以後も皇太子の用いる位袍(いほう)の色とし、禁色(きんじき)として他の者の使用を禁じた。『延喜式(えんぎしき)』によると、紅花(べにばな)と支子(くちなし)によって染められ、「黄丹綾(あや)一疋(ぴき)。紅花大十斤(きん)八両、支子一斗二升。酢一斗、麩(ふ)五升。藁(わら)四囲。薪一百八十斤。帛(はく)一疋。紅花大七斤。支子九升。酢七升。麩四升。藁三囲。薪一百廿斤。羅(ら)一疋用度同帛」とある。中世以降黄丹の袍の地質は、冬を綾、夏を縠(こく)とし、文様は窠(か)に鴛鴦(えんおう)を織り出したものである。皇太子が黄丹袍を着装した姿は、鎌倉時代の『駒競行幸絵巻(こまくらべぎょうこうえまき)』その他にみることができる。

[高田倭男]


黄丹(おうだん)
おうだん

黄丹

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普及版 字通 「黄丹」の読み・字形・画数・意味

【黄丹】こうたん

黄の丹薬

字通「黄」の項目を見る

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