父様(読み)トトサマ

デジタル大辞泉 「父様」の意味・読み・例文・類語

とと‐さま【父様】

父を敬っていう語。おとうさま。⇔母様かかさま
七つばかりの子が母の袖にすがりて―の所へいにたいといふにぞ」〈浮・武家義理・五〉

とっ‐さま【父様】

《「ととさま」の音変化》敬称。とうさま。
「死んだ―の遺言をば」〈円朝塩原多助一代記

とう‐さま【父様】

《「ととさま」の音変化》父を敬い親しんで呼ぶ語。⇔母親かあさま

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「父様」の意味・読み・例文・類語

とと‐さま【父様】

〘名〙 (「さま」は接尾語)
① 父を敬って呼ぶ語。父上
※虎明本狂言・庖丁聟(室町末‐近世初)「太郎くゎじゃ、ととさまは内にござるか」
② ①より転じて、夫をいう。他人の夫についても用いる。
浮世草子好色一代男(1682)五「女房共を横平によびける。おなるに何物かときけば、これの阿爺(トト)さまといふ」

とっ‐さん【父様】

〘名〙
① (「ととさま(父様)」の変化した語) 父を敬い親しんでいう語。とっさま。
浄瑠璃長町女腹切(1712頃)中「ヤア、とっさんか。夜ふけて何しにごんしたと」
② 年をとった男子を親しんでいう語。また、老人をいくぶん軽んじていう場合にもいう。
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)三「ヲ、是とっさん、けたたましい何ぞいの」

とっ‐さま【父様】

〘名〙 (「ととさま(父様)」の変化した語) 父を敬っていう語。
狂言記・貰聟(1660)「『は、とっさま、なにしにいれませうぞ』『おお、したらえいは』」
随筆北越雪譜(1836‐42)上「父翁(トッサマ)はいつぞや来られしが母人はいまだ」

と‐さま【父様】

〘名〙 お父さま。父上。とうさま。とっさま。
※雑俳・登梯子(1705)「正じきに・とさま雑水戻りゃしゃれ」
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)六「とさま出て見やかかんつ、かかんつれてといふ哥の通り

とと‐さん【父様】

〘名〙 (「ととさま(父様)」の変化した語) 父を敬い親しんで呼ぶ語。
※浄瑠璃・三浦大助紅梅靮(1730)三「父様(トトサン)とした事が仰山な物の云様(いひやう)あまの事でと打笑ひ」

とう‐さま【父様】

〘名〙 (「ととさま」の変化した語) 子ども父親を敬い親しんで呼ぶ語。父上。おとうさま。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉七「父様(トウサマ)二人して」

とう‐さん【父様】

〘名〙 (「ととさん」の変化した語) 「とうさま」よりくだけたいい方。おとうさん。
※うつせみ(1895)〈樋口一葉〉二「父様(トウサン)も母様も兄様も」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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