(読み)ちち(英語表記)Fadren

  • ▽父
  • かぞ
  • しし
  • ちゃん
  • てて
  • ててら
  • とと
  • 漢字項目

デジタル大辞泉の解説

《古くは「かそ」》上代、父をさす語。⇔いろは
「その―母(いろは)の二はしらの神」〈神代紀・上〉
《上代東国方言》父(ちち)。
「月日(つくひ)やは過ぐは行けども母(あも)―が玉の姿は忘れせなふも」〈・四三七八〉
上代、男子を敬っていった語。「おほぢ(祖父)」のように他の語の下に付く場合は連濁のため「ぢ」となることがある。
「甘(うま)らに聞こし以ち食(を)せ、まろが―」〈・中・歌謡
両親のうちの男親のほう。ちちおや。実父継父養父ともにいう。「一児のとなる」「の遺志を継ぐ」⇔
新しい世界を開いて偉大な業績を残した先駆者。「近代言語学の」「インド独立の
キリスト教における神。三位一体(さんみいったい)の第一の位格。「と子と聖霊」
[補説] 
2018年5月に実施した「あなたの言葉を辞書に載せよう。2018」キャンペーンでの「父」への投稿から選ばれた優秀作品。

◆どんなに頑張っても子供から母ほどには愛されない可哀想な存在。
tommyさん

◆亡くなった後に感謝される存在。生きている間はやせ我慢。
好きな言葉は食べ放題さん

◆子供にとっての「世間代表」。
Rena Reinaさん

◆超えるべき壁でもあり、支えてくれる土台でもある存在。
T-skさん

◆昔は家の大黒柱と、今は家のATMと思われている存在。
ぼくちんさん

◆似てほしくないところが、似てきて苦笑する。
のうてんきさん
父親を呼ぶ俗語。江戸時代から庶民の間で用いられた。
《「ちち」の音変化か》父親。ちち。てて親。
「―なりし人も、めづらかにあはれなる事なり」〈更級
子が自分の父を敬い親しんで呼ぶ語。⇔母(かか)
夫をさしていう語。
「―がためかかに若菜をそろへさせ」〈浮・織留・六〉
[音](漢) ホ(慣) ブ(呉) [訓]ちち
学習漢字]2年
〈フ〉
ちち。「父系父子父母岳父義父君父厳父実父祖父尊父亡父
父母の兄弟。「叔父(しゅくふ)・諸父・伯父(はくふ)
父のように仰がれる人。「国父神父
年老いた男。「父老/漁父
〈ホ〉年老いた男。また、年長の男性に対する敬称。「亜父・尼父(じほ)(孔子のこと)」
〈ちち〉「父上父親
[名のり]のり
[難読]祖父(おおじ)小父(おじ)伯父(おじ)叔父(おじ)御祖父(おじい)さん御父(おとう)さん親父(おやじ)秩父(ちちぶ)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (古くは「かそ」) 父をさす上代語。⇔いろは
※書紀(720)仁賢六年是秋「菱城邑人鹿父〈鹿父は人の名なり。俗、父を呼びて柯曾と為〉」
[補注]「日本書紀」とその関連の文献に現われる。語源や「ちち」との相違は不明。「父母」を表わすときは「かぞいろ」または「かぞいろは」の形になる。
〘名〙 「ちち(父)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)二〇・四三七六「旅ゆきに行くと知らずて母(あも)志志(シシ)に言申さずて今ぞ悔しけ」
〘名〙 男子を敬っていう上代語。ちち。かぞ。他の語の下に付いて用いられる場合は、連濁によって「ぢ」となることもある。
※古事記(712)中・歌謡「横臼(よくす)に 醸(か)みし大御酒(おほみき)(うま)らに 聞こし以(も)ち食(を)せ まろが知(チ)
〘名〙
① 両親のうちの男の方。すなわち、実父・継父・養父の総称。父親。おとこおや。ち。かぞ。てて。しし。
※万葉(8C後)一三・三三一二「奥床に 母はい寝たり 外床に 父はい寝たり」
※源氏(1001‐14頃)末摘花「ちちの大輔の君はほかにぞすみける。ここには時時ぞかよひける」
② キリスト教で、神をいう。
※悪魔(1903)〈国木田独歩〉三「天に在(まし)ます父(チチ)よ」
③ 新しいものの開祖。先駆者。また、偉大な貢献者。「現代物理学の父」
※春興倫敦子(1935)〈福原麟太郎〉倫敦消息「スペンサーこそは英詩の又英文学の父であり、又母である」
[語誌](1)もとは「ち」に父の意があったことが「まろが知(チ)」〔古事記‐中・歌謡〕などから分かる。「ち」は、また「おほぢ」(祖父)、「をぢ」(伯父、叔父)などの語基でもある。
(2)中古以後に「てて」の形も認められるが、徐々に俗語的になっていったことが「てて 父の俗語也」〔倭訓栞〕などからうかがわれる。
(3)「日葡辞書」には「Toto(トト)」がみられ、この語にさまざまな接辞のついた語形が近世になって現われる。上方語では「ととさん」「ととさま」、江戸語では「おとっちゃん」「おとっつぁん」「おととさん」「とうさん」「おとうさん」などである。
(4)「ちゃん」は「おとっちゃん」の上略語とされるが、全国に広がる方言分布からすると、それほど新しい語とは思えず、「ちち」に由来する可能性もある。
〘名〙
① 父。ちちおや。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「この手、母にも勝り、母はてての手にも勝りて」
② 遊女屋の主人。〔随筆・異本洞房語園(1720)〕
③ 下男のこと。
※御伽草子・月日の本地(室町時代物語集所収)(室町末)「よくよく、しゅごし申せとて、御ててにぞめされける」
〘名〙 =てて(父)
※浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)厄払ひ「ててらかからに爺婆息災」
〘名〙
① 父をいう幼児語。子が父親を敬い親しんで呼ぶ語。おとなが子の立場に立って使う場合もある。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「かの息子にっこと笑ひ『なふとと、百はたごとはこの事か』といふ」
② 転じて、夫。亭主。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「茶屋の阿爺(トト)階子ふたつ目に揚りて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内のの言及

【親子】より

…父母と子の関係を指すが,生みの親と子の血縁的な関係だけではなく,養親と養子,親分と子分,親方と子方の関係のように,法制上,習俗上親子関係が擬制される関係(擬制的親族関係)を指しても用いられる。
[親子と血縁]
 親子関係では,とくに血のつながりという自然的要素が強調されるが,いずれの社会でも,血のつながりがあればただちに社会的にも親子関係が発生するとされているわけではない。…

【家父長制】より

…家父長制は次の三つに分類できる。(1)家族類型としての家父長制 家族におけるいっさいの秩序が,最年長の男性がもつ専制的権力によって保持されている場合,こうした家族は〈家父長制家族patriarchal family〉とよばれる。…

※「父」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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