題跋(読み)ダイバツ

デジタル大辞泉 「題跋」の意味・読み・例文・類語

だい‐ばつ【題×跋】

題辞跋文
巻物書物末尾につける文章。跋文。

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精選版 日本国語大辞典 「題跋」の意味・読み・例文・類語

だい‐ばつ【題跋】

〘名〙
① 題と跋。書物などに記す題辞と跋文。〔夢渓筆談‐巻五・楽律
② 書物などのあとにつける、由来本末、評などを書いた文章。跋文。書後
※拘幽操師説(18C初)「題跋は跋のこと」

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普及版 字通 「題跋」の読み・字形・画数・意味

【題跋】だいばつ

書物や碑帖書画の題辞や跋文。〔夢渓筆談、楽律一〕の昭宗、州に幸し、齊雲樓に登り、~蠻(ぼさつばん)辭三を作る。~今此の辭の本、ほ陝州(せんしう)の一佛寺中に在り。~曾(かつ)て之れを一見したるに、後人の題跋多く、軸に盈ちたり。

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改訂新版 世界大百科事典 「題跋」の意味・わかりやすい解説

題跋 (だいばつ)
tí bá

中国文体名称。明の徐師曾の《文体明弁》は題跋を,清の姚鼐(ようだい)の《古文辞類纂》は序跋類を立てている。題は書物の巻頭や書画の余白に書く短文であり,多くはその書物,書画に対する意見,感想などが述べられる。題はまた巻末に置かれる場合もある。跋は題と同じ性格を持つが,必ず巻末にしるされる。書序は題よりも長文の傾向があり,かつ題を書いた数人中,格が一番高いのが普通である。送序,宴序は題とは関係がない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「題跋」の意味・わかりやすい解説

題跋
だいばつ

中国の文体の一つ。詩文、書籍、碑帖(ひじょう)、書画などにつける「題辞跋文」のことで「表題奥書(おくがき)」ともいう。元来、冒頭に題(しる)すことばを「題辞」、後尾につけることばを「跋文」(「跋」あるいは「書後」)とよんだ。漢の趙岐(ちょうぎ)の「孟子(もうし)題辞」は「孟子」の成立、由来、主旨などを記し、「序」(端書き)に似た文体となっている。「題辞」が冒頭、「跋文」が後尾という区別はかならずしも固定せず、後尾につけることばを「題跋書後」あるいは単に「題跋」とする用例がむしろ多い。宋(そう)代以後、欧陽修(おうようしゅう)、蘇軾(そしょく)、黄庭堅(こうていけん)らによって盛んにつくられるようになった文体で、石碑の上部や書物の初めに題す文章が、ごく短い語句になった場合、「題」とよばれた。

[杉森正弥]

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百科事典マイペディア 「題跋」の意味・わかりやすい解説

題跋【だいばつ】

中国の文体の一つ。金石の拓本や書画の巻冊の後に批評や由来を書き記したもので,宋代以後盛んに書かれ,高名な書家の手になるものも多い。元来は,前に付ける〈題〉,後に付ける〈跋〉の総称。

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