朝日日本歴史人物事典 「鴻池善右衛門(10代)」の解説
鴻池善右衛門(10代)
生年:天保12(1841)
江戸期以来の大坂の豪商鴻池善右衛門家の第10代当主。幸富と称す。幼名丑之助または善九郎。一族の山中又七郎家の長男に生まれ,弘化3(1846)年本家鴻池善右衛門家の養子となるが,養父の9代善右衛門幸実が早く没したため,嘉永4(1851)年,11歳で家督相続した。幸富の時代,鴻池家は幕末維新の動乱期で,経営困難に直面したが,第十三国立銀行の創立(1877)をはじめ,蓬莱社,日本生命,大阪倉庫などの設立に参加,家業の再生に努めた。しかし,経営の実際は番頭や土居通夫,島村久,原田二郎などの外部からの雇用経営者にゆだねることが多かった。幸富は,儒学者篠崎小竹 に学び,また俳諧に通じるなど風流人であったといわれる。<参考文献>宮本又次『鴻池善右衛門』
(宮本又郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報