翻訳|einsteinium
アクチノイドの11番目に位置する超ウラン元素の一つ。原子番号99、元素記号Es。科学者アインシュタインを記念して命名された。
1952年太平洋でのアメリカによる水爆実験の生成物からフェルミウムとともに発見されたが、軍事機密として公表されず、1954年に至って原子炉内で人工合成された事実が報告された。ウラン、ネプツニウム、プルトニウムなどの原子核に中性子、α(アルファ)粒子、重陽子、炭素あるいは窒素などの原子核を作用させて多くの同位体がつくられているが、いずれも短寿命の放射性同位体で、質量数252のものがもっとも長い半減期472日をもつ。+Ⅲが安定であり、酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩が得られている。
[岩本振武]
超ウラン元素に属する人工元素の一つ。知られている同位体は質量数243から256までの14種で,そのうち半減期の最も長いものは254Es(276日)。1952年アメリカのギオーソAlbert Ghiorso,シーボーグGlenn Theodore Seaborgらが,太平洋で行われた熱核爆発実験で得られた破片から253Es(α崩壊,半減期20.47日)を見いだし(ウランの多段階の中性子捕獲と,いくつかのβ崩壊によって生成する),99番元素であることを確かめた。その後,53年原子炉中のプルトニウム239(239Pu)に強い中性子束をあてても得られることが見いだされ,さらにウラン238(238U)に対する窒素14(14N)の照射,バークリウム249(249Bk)へのヘリウムイオンの衝撃などでもつくられることがわかった。物理学者A.アインシュタインにちなんで命名された。天然には存在せず,同位体はすべて人工によってつくられる。
執筆者:中原 勝儼
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Es.原子番号99の元素.電子配置[Rn]5f 117s2の周期表3族アクチノイド元素.7番目に発見された超ウラン元素.A. Einstein(アインシュタイン)にちなんで命名された.1952年12月,カリフォルニア大学(バークレー校)のA. Ghiorsoらによって,同年11月のエニウェトク環礁での最初の水爆実験の残分中から,半減期20.5 d の253Esが確認された.逐次中性子吸収(原子炉中)で得られる.249Puから出発してオークリッジ国立研究所の高中性子束同位体製造用原子炉(HFIR)によって,数年間かかって3 mg のEsが製造された.1961年に,0.01 mg の253Esがメンデレビウム製造の原料として用いられた.融点1133 ℃ の金属.第一イオン化エネルギー629.0 kJ mol-1(6.52 eV).酸化数2,3.水溶液中で Es3+ と考えられている.現在,知られている同位体核種は240~258の範囲に19種.質量数252の核種がもっとも長寿命で半減期471 d.[CAS 7429-92-7][別用語参照]α崩壊,軌道電子捕獲
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