日本大百科全書(ニッポニカ) 「リヒテンベルク」の意味・わかりやすい解説
リヒテンベルク
りひてんべるく
Georg Christoph Lichtenberg
(1742―1799)
ドイツの物理学者、思想家、ゲッティンゲン大学教授。ダルムシュタット近郊に生まれる。彼の物理学上の発見に、電圧を通じた電極を中心に放射状に現れる図形(リヒテンベルクの図形)がある。思想家としての彼は啓蒙(けいもう)主義の後継者であり、1778年『ゲッティンゲン・ポケットカレンダー』誌の編集を引き受け、さらに1780年『ゲッティンゲン学術文芸雑誌』を刊行して、同じ町の同じ書店が刊行する『ゲッティンゲン年刊詩集』を中心としたシュトゥルム・ウント・ドラングの人々やゲーテと対立していた。当時のこの新文芸思潮は、彼にはあまりに主情的に思えたのである。生涯に二度渡英したが、ハムレットを演ずる名優ギャリックを描いた文章や、ホガースの版画を論じた浩瀚(こうかん)な書物はその成果である。生涯書き続けた「雑記帳」からの抜粋がアフォリズムとして死後出版され、メーリケ、ニーチェ、ムシルをはじめ、多くの人々に影響を与えた。
[恒川隆男]