アンペア(読み)あんぺあ(英語表記)ampere

翻訳|ampere

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンペア」の意味・わかりやすい解説

アンペア
あんぺあ
ampere

国際単位系(SI)の電流の単位で、基本単位の一つである。記号はAで表す。現在の定義は「真空中に1メートルの間隔平行に置かれた、無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ1メートルごとに力の大きさが1000万分の2ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流」とされている。この定義は1948年(昭和23)の第9回国際度量衡総会で決められたものであるが、それ以前は、「硝酸銀水溶液を通過し、毎秒0.00111800グラムの銀を分離する不変電流」と定義されていた。これは1908年に国際電気標準会議で定められたもので、これを国際アンペアといい、現在の定義のものを絶対アンペアという。両者の間の関係は
  1国際アンペア=0.99995絶対アンペア
である。

 アンペアの値は電流天秤(てんびん)によって正確に測ることが可能であるが、実際には電圧と電気抵抗の値、すなわちボルトオームから、オームの法則によって計算される。

 日本では1966年(昭和41)電気測定法が計量法に統合されるまで国際アンペアを用いていた。なお、アンペアの名称フランスの物理学者アンペール業績にちなんでいる。

 アンペアはまた起磁力の単位にも用いられる。この場合の定義は「1回巻きの閉回路に1アンペアの不変の電流が流れるときに生ずる起磁力」とされている。なお、起磁力の単位のアンペアを、電流の単位のアンペアととくに区別する必要があるときは、アンペア回数ampere turnという。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンペア」の意味・わかりやすい解説

アンペア
ampere

電流SI基本単位。記号は A。電磁気量の基本的な実用単位で,SIの七つの基本単位の一つに採用されている重要な単位である。2018年の国際度量衡総会(→国際度量衡委員会)で,電気素量 e を 1.602176634×10-19Cと定めることで設定される,と定義された。単位名はアンドレマリアンペールの名にちなむ。それまでの定義は,1948年の国際度量衡総会において,アンペールの法則に基づき,「1Aは,真空中に 1mの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形断面積を有する無限に長い 2本の直線状導体のそれぞれを流れ,これらの導体の長さ 1mごとに 2×10-7N の力を及ぼし合う一定の電流である」と定められていた。この定義に基づくアンペアは,SIに採択される 1960年までは絶対アンペアと呼ばれた。一方,1948年以前は国際アンペアが用いられていた。

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