イソキノリン(読み)いそきのりん(英語表記)isoquinoline

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イソキノリン」の意味・わかりやすい解説

イソキノリン
いそきのりん
isoquinoline

環内に窒素原子を含む複素環式芳香族化合物の一つ、2-アザナフタレンともいう。コールタール中に存在し、硫酸塩としてコールタールから分離する。ベンズアルデヒドとアミノアセタールの縮合により合成できる。

 キノリン異性体無色固体で、悪臭をもつ。普通の有機溶媒に溶けるほか、酸類には塩をつくって溶ける。抗マラリア剤などの医薬染料殺虫剤などの合成原料としての用途をもつ。

[廣田 穰]


イソキノリン(データノート)
いそきのりんでーたのーと

イソキノリン

 分子式 C9H7N
 分子量 129.2
 融点  26.0℃
 沸点  242.5℃
 比重  1.0980(測定温度20℃)
 屈折率 (n)1.6178

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イソキノリン」の意味・わかりやすい解説

イソキノリン
isoquinoline

キノリンの異性体で,3,4-ベンゾピリジンともいわれる。塩基性物質としてアニリンとともにコールタールに含まれる。無色板状晶または液体。融点 27℃,沸点 243℃。医薬,農薬,染料などの合成原料。天然物であるアルカロイドにこのイソキノリン骨格をもつものが多い。キノリン様の特異な臭いをもつので密閉して保存する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報