イヌワシ(読み)いぬわし(英語表記)golden eagle

翻訳|golden eagle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イヌワシ」の意味・わかりやすい解説

イヌワシ
Aquila chrysaetos; golden eagle

タカ目タカ科。全長 66~102cm。雌の方が大きく,大きさの異なる 6亜種がある。翼開張は 180~240cmに及ぶ。羽色頭上から後頸,頸側が黄褐色。そのほかは黒褐色だが,尾羽はやや淡色で,成鳥には黒褐色の帯がある。は先が黒く,基部が黄色。脚も黄色。分布北極圏を除く北半球の中緯度,高緯度地方と広く,平原から山岳地帯にまで及ぶ。多くは留鳥だが,北アメリカでは北部で繁殖する鳥が中部,南部に渡って越冬する。日本では北海道南部から九州地方までの山岳地帯にすみ,岩崖の棚状部や巨木の横枝上に営巣する。産卵数は 1~3個だが,巣立つのは 1~2羽である。ノウサギ,ライチョウ,キジ類,爬虫類など多様な動物を捕食する。日本での生息数は少なく,近年では多くても 500羽程度と推定されている。1965年国の天然記念物に,1993年には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)施行に伴い国内希少野生動植物種に指定された。(→ワシ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌワシ」の意味・わかりやすい解説

イヌワシ
いぬわし / 狗鷲
golden eagle
[学] Aquila chrysaetos

鳥綱タカ目タカ科の鳥。ユーラシア大部分、アフリカ北部、アラスカからカナダの大部分、アメリカ西部、メキシコなどで繁殖し、日本には留鳥として生息する。全長約85センチメートル、翼長約60センチメートル。体の上面は黒褐色、頭上から後頸(こうけい)は金色。若鳥は後頸の金色は少なく、翼と尾の基部が白い。本州の中部および北部の山岳地帯で繁殖し、冬も繁殖地周辺にいることが多いが、ときに平地や海岸でも記録される。雌雄2羽で広い範囲を自分の領域とし、なかに採食地や営巣地も含まれる。長くて幅の広い翼を広げ、輪を描いて悠々と飛び、地上に獲物をみつけると急降下してとらえる。獲物はノウサギが多い。険しい断崖(だんがい)や高木の上に枯れ枝を積んで大きな巣をつくり、1~2卵を産む。抱卵日数は約45日、巣立ちまでに70~80日を要する。1965年(昭和40)国の天然記念物に指定された。

高野伸二


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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