改訂新版 世界大百科事典 「イワセントウソウ」の意味・わかりやすい解説
イワセントウソウ
Pternopetalum tanakae(Fr.et Sav.)Hand.-Mazz.
亜高山のコケの生えた林床に生える高さ10~20cmの繊細なセリ科の多年草。地下茎は細くて横にはい,ところどころ一部が太くなる。根出葉は茎の基部に1~2枚あり,2回羽状に分かれてセリの葉に似ている。茎の中央部に1葉あるが,この葉は羽状に1~2回分裂し,裂片は細くて長さ1~2cmぐらいである。全体に毛がない。茎は細くて分枝せず,初夏のころその先に1個の散形花序をつける。散形花序の柄は10~20本あり,長さ2.5~3cm,先に2~3個ずつ小さい白い花をつける。本州の関東地方から西と,四国,九州の山地に分布している。イワセントウソウ属Pternopetalumは十数種あって,日本,中国,ヒマラヤに分布している。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報