ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウァロ」の意味・わかりやすい解説
ウァロ
Varro, Marcus Terentius
[没]前27
ローマの百科全書的著述家。キケロの友人。アスカロンのアンチオコスの弟子。 600巻に及ぶ著作をなす。詩人としては,キュニコス派のガダラのメニッポスに捧げたメニッポス風サトゥラを書いたが,学者としての影響が大きく,現存するのは『ラテン語論』 De lingua latina (前 45頃) ,『農業論』 Rerum rusticarumだけだが,その他あらゆる分野に考察を加えた。哲学的な主題は,人間にとって最高善は何かということであったが,彼の意義はむしろ素材の提供にあるといってよく,多くの著述家が彼に資料を求め,特にアウグスチヌスはローマの宗教に関する多くの事実を彼から借用している。ウェルギリウスも『農耕詩』を書くにあたり,『農業論』の恩恵を受けている。初めポンペイウス派であったが,カエサルの命によりローマで最初の公共図書館設立の任にあたった。カエサルの死後,アントニウスによって追放されたが,のちに許された。宗教上の問題に関しては,アウグスツスの顧問格。
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