イギリスの外交官、ウェード式ローマ字の考案者。ケンブリッジ大学卒業後、陸軍に入り、中尉としてアヘン戦争に従軍。戦争終結後は退役して香港(ホンコン)で通訳官を務めた。1852年上海(シャンハイ)副領事、1854年上海の海関(かいかん)の初代税務司、1855年香港の貿易監督官の漢文秘書官などを歴任。1858年アロー戦争の講和交渉に際し、イギリス全権エルギンに随行して天津(てんしん/ティエンチン)へ赴き、実際の交渉を担当した。1861~1871年北京(ペキン)のイギリス公使館に勤務、1871~1883年公使に任命され、1876年、雲南問題(マーガリ殺害事件)処理のため李鴻章(りこうしょう)と交渉して芝罘(チーフ)条約を結んだ。帰国後の1888年、ケンブリッジ大学の初代中国語教授となり、中国勤務中に収集した書籍のコレクションを同大学に寄贈した。中国語のローマ字による表記法(ウェード式ローマ字)を考案し、これを用いて中国語の入門書『語言自邇(じじ)集』(1867)を著した。
[西川喜久子 2018年6月19日]
イギリスの中国公使(1871-83),中国学者。のちケンブリッジ大学中国語教授。その著《語言自邇集》(1867)は,中国語教科書として有名。彼の考案したウェード式ローマ字表記法は,欧米ことに英語圏でよく使われたが,近年,拼音(ピンイン)にとって代わられつつある。日本では井上翠《井上中国語辞典》によって,昭和30年代のはじめごろまで使われた。
執筆者:慶谷 寿信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
1818~95
イギリスの外交官,中国語学者。ロンドン生まれ。軍人生活ののち在華外交官に転じ(在華40年),帰国後母校ケンブリッジ大学の中国語教授となる。漢字音のローマ字表記法(いわゆるウェード式)を考案した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…いわゆるマーガリー事件である。イギリス公使トマス・ウェードは,この事件を機に中国・イギリス間の懸案を解決せんとし,芝罘(チーフー)で李鴻章と交渉を始め,76年芝罘協定が結ばれた。内容は(1)雲南事件の謝罪および償金支払い,雲南・ビルマ間国境貿易の許可,(2)会審の具体的手続に関する取決め,(3)宜昌,蕪湖,温州,北海の開港,イギリス官吏の重慶駐在,租界における洋貨の釐金(りきん)免除,アヘンに対する保税制度の適用などについて取り決められた。…
※「ウェード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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