ウォルド(その他表記)Wald, George

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォルド」の意味・わかりやすい解説

ウォルド
Wald, George

[生]1906.11.18. ニューヨーク,ニューヨーク
[没]1997.4.12. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカ合衆国の生化学者。1927年ニューヨーク大学卒業。1932~33年ドイツ留学中にビタミンA網膜色素の構成成分であることを発見。1934年ハーバード大学に務め,1948年生物学教授。1940年代初期に,水晶体光線に含まれる紫外線を除去することを発見。網膜を構成する細胞一種である杆状体で起こる化学反応について研究し,1950年代末に赤色光,緑色光に感受性をもつ色素の同定に成功,さらに 1960年代初頭,青色光に感じる色素を同定した。また,これらの色素の形成においてビタミンAの果たす役割を明らかにし,色素のどれかが欠如することが色覚異常の原因であることを示した。視覚の生化学的研究に対し,ハルダン・K.ハートライン,ラグナー・A.グラニットとともに,1967年ノーベル生理学・医学賞を与えられた。1960年代末から 1970年代初めにかけ,ベトナム侵略(→ベトナム戦争)に激しく抗議した。

ウォルド
Wald, Abraham

[生]1902.10.31. クルージ
[没]1950.12.13. インド
アメリカの数理統計学者。ユダヤ系商人の家に生れ,クルージ大学,ウィーン大学で数学を学ぶ。初めは幾何学特に微分幾何学を研究したが,ウィーン大学で K.メンガーの指導を受け,次第に数理統計学,数理経済学の研究に転向する。 1938年,経済学研究団体の研究員として渡米,コロンビア大学のホテリングの世話でカーネギー財団の奨学金を受け,アメリカで研究生活を続ける。この年,ナチスオーストリア占領郷里に残った父母姉妹は,アウシュウィッツ強制収容所に送られてガス虐殺された。 39年の『統計的推定論および仮説検定論について』には,のちの統計的判定関数のアイデアが現れていたが,この論文の意義は,当時は理解されなかった。コロンビア大学教授 (1944) 。 47年の著書『逐次推測』は,第2次世界大戦後の品質管理の要望にこたえたもので,逐次推測理論を体系化し,抜取り検査の実際場面における難点解答を与えた。しかし彼の不朽の業績は『統計的判定関数』 (50) である。この本で彼は,ゲームの理論に基づき,ミニマック原理を使って損失関数の概念導入,推定と検定という従来2つに分れていた分野を統一的に考える視点を定式化した。その年の 12月,標本調査指導のためインド統計研究所に招かれ,南インド旅行中に飛行機事故で死亡した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルド」の意味・わかりやすい解説

ウォルド
うぉるど

ワルド

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