ウミガラス(読み)うみがらす(英語表記)murre

翻訳|murre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウミガラス」の意味・わかりやすい解説

ウミガラス
Uria aalge; common murre

チドリ目ウミスズメ科。「おろろん」と鳴くため,オロロンチョウともいう。全長 38~46cm。夏羽(→羽衣)では頭部,頸,背面は黒く,胸から腹は白い。冬羽では頸と眼の後方が白くなる。亜種によっては眼輪が白い。ヨーロッパ北極圏オホーツク海ベーリング海アラスカ半島からカリフォルニア中部,カナダ東部などの沿岸島嶼繁殖する。冬季はカリフォルニア南部や日本海,ヨーロッパ南部などの海域あたりまで南下する。繁殖は断崖の棚状部に多数が密集して行ない,岩の上にじかに先のとがった卵を 1個産む。この卵はとがった方を中心に円を描くように回るので,崖から転げ落ちない。は孵化後 20日ほどで,場所によっては高さが数百mにもなる崖上から滑翔して飛びおり,海上生活に移る。日本で唯一の繁殖地,北海道の天売島では雛の巣立ちが一時なかったが,保護活動の結果,2012,2013年には各 9羽を記録した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウミガラス」の意味・わかりやすい解説

ウミガラス
うみがらす / 海烏
海鴉
murre

広義には鳥綱チドリ目ウミスズメ科ウミガラス属に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。同属Uriaは世界で3種が知られているが、いずれも北半球北部の寒流域の海上にすみ、海岸の岩棚で繁殖し、群れで生活することが多い。海上を低く直線的に飛ぶ。潜水して小魚などをとらえるが、容易に数十メートルの深さまで潜ることもあり、その深さのサケ・マス漁の網にかかることで知られる。種としてのウミガラスU. aalgeは北海道ではロッペンチョウ、ロッペンガモ、オロロンチョウともよばれ、全長43.5センチメートル、頭から背面は黒色で、下面は白色。冬羽では顔の下半分が白色になる。雌雄同色。太平洋、大西洋の北部の離島などの岩棚で繁殖し、洋ナシ形の1卵を産む。狭い岩棚でも落下しにくい卵形といえる。幼鳥は翼が生えそろう前に海へ飛び込み、海上で養育される。北海道の天売島(てうりとう)では多数が繁殖している。ハシブトウミガラスU. lomviaは全長43.5センチメートル。ウミガラスに酷似するが、嘴(くちばし)が太めであることと、嘴の会合線が白っぽくなっている点が異なる。太平洋、大西洋の北部の離島で繁殖している。わが国では冬鳥として北日本の沿岸で少数がみられるだけである。オオハシウミガラスAlca tordaは全長41センチメートル。ウミガラスに似た体色で、嘴は厚みはないが太く、白線のある点が異なる。大西洋の北部に分布している。

[柳澤紀夫]


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