ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エトベシュ」の意味・わかりやすい解説
エトベシュ
Eötvös József
[没]1871.2.2. ペスト
ハンガリーの作家,教育家,政治家。貴族 (男爵) の出身。ペスト大学在学中 (1826~31) に自由主義思想の洗礼を受け,イギリス,フランス留学 (36~41) において博愛思想,ロマン主義,ユートピア社会主義の影響を受けた。 1839年から社会的貧困,封建主義批判の小説を発表。 48年のバチャーニュ内閣の教育相として国民の教育水準の向上に努力したが,コシュートと対立して辞任,ミュンヘンに亡命。 19世紀思想に関する大著を発表 (51~54) ,ナポレオン3世,オーストリア絶対主義を批判した。ハンガリー科学アカデミーの改組,拡充に尽力。 67年再度教育相に任命された。代表作『村の公証人』A falu jegyzöje (45) 。ほかに評論『改革』 Reform (46) 。
エトベシュ
Eötvös Lóránt, Baron von
[没]1919.4.8. ブダペスト
ハンガリーの物理学者。詩人で作家のエトベシュ・ヨージェフの子。ハイデルベルク大学に学び,1870年学位取得。ブダペスト大学講師 (1871) を経て,同大学理論物理学教授 (72) ,のち実験物理学教授 (78) 。 94~95年にかけて教育相もつとめた。毛管現象の研究から,表面張力と温度の関係を明らかにするとともに,分子表面張力の概念を導入。また重力場,磁場の研究に従事し,高精密なねじり秤を用いて,慣性質量と重力質量が高い精度で等しいことを実験的に証明した。
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