デジタル大辞泉
「おりゃる」の意味・読み・例文・類語
おりゃ・る
[動ラ四]《「おい(入)りある」の音変化》
1 「行く」「来る」の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。
「いざさらば行かう。―・れ―・れ」〈虎清狂・猿座頭〉
2 「ある」「居る」の尊敬語。おありになる。いらっしゃる。
「内に―・るか。これへお出やれ」〈虎清狂・猿座頭〉
3 「ある」の丁寧語。あります。
「そなたのけなげで、訴訟かなうて、お下りやったほどのみやげが―・らうか」〈虎清狂・鏡男〉
4 (補助動詞)「ある」の丁寧語。…でございます。…ております。
「なにごとで―・るぞ」〈謡・鞍馬天狗〉
「怪我がなうて嬉しう―・る」〈浄・手習鑑〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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おりゃ・る
- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「お入りある」の変化した語 )
- [ 一 ] 「いる」「来る」「行く」「ある」の意の敬語。おいりある。おりある。
- ① 「いる」「来る」「行く」の意の尊敬・丁寧語。いらっしゃる。おいでになる。
- [初出の実例]「三人して見て来いと仰せ付けられた。早うおりゃれ」(出典:謡曲・烏帽子折(1480頃))
- ② 「ある」の意の尊敬・丁寧語。おられる。また、ございます。あります。
- [初出の実例]「武帝の兄でおりゃったぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)六)
- [ 二 ] 補助動詞として用いられる。
- ① 「で」や、形容詞、形容動詞の連用形を受けて、断定指定の丁寧語となる。(で)ござる。あります。です。
- [初出の実例]「なにごとでおりゃるぞ」(出典:謡曲・鞍馬天狗(1480頃))
- ② 動詞、助動詞の連用形を受ける「て」に接続して、完了・継続などの意の丁寧語となる。
- [初出の実例]「おもへどおもはぬふりをして、しゃっとしておりゃるこそ、底はふかけれ」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
おりゃるの語誌
( 1 )本来「行く・来る」や「居る」の尊敬語であったが、丁寧語にも転じて広く用いられた。
( 2 )室町時代の末から「お出である」の変化形「おじゃる」の勢力に押されるようになり、江戸時代の初めには衰退した。
( 3 )「おりゃる」「おじゃる」共に「ござる」の系列と比較すると敬意は軽く、狂言では対等以下の相手に用いる親愛語的なものになっている。→おじゃる・おりゃらします・おりない
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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