インド北西部地方に広く行われている舞踊。起源や成立は不詳。《ナーティヤ・シャーストラ》を基本とするヒンドゥー教社会におけるインドの舞踊の特徴と,ムガル王朝期のペルシア的な舞踊の特徴を兼ねそなえた舞踊である。歴史的には16世紀から18世紀にかけての細密画の中に,カタックの前身といえる舞踊の絵があり,その後,現在のカタックへと発展していったことがうかがわれる。カタックには,他のインドの舞踊ほとんどすべてにみられる膝を深くまげた姿勢がなく,踊り手は背筋や脚をまっすぐにのばして踊る。動きの特徴はジャンプと旋回である。アマダという序の部分に続いて,トラ,トゥクラ,パラナのヌリッタnṛtta(純粋舞踊)が踊られる。インドの舞踊の特徴であるアビナヤabhinaya(表示的な舞踊)の踊りも含まれていて,クリシュナ神の物語が多い。
→インド舞踊
執筆者:大谷 紀美子
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