アユンタミエントayuntamientoとも呼ばれ,市参事会と訳される。もともと中世スペインにおいて,地方の都市住民の伝統と特権を代表した機関であったが,新大陸では征服が完了すると創設され,主として都市行政を任務とした。しかし,都市間の地理的隔りや交通通信手段の未発達のため,カビルドは経済活動の調整機関としての機能も果たした。その規模は都市の重要性や性格によって異なる。カビルドを構成する主要な官吏は,司法を担当するアルカルデ・オルディナリオと行政を担当するレヒドールで,これ以外に警吏長,度量衡検査官,公共財産監視官,科料徴収官などの専門的官吏がいた。アルカルデ・オルディナリオはレヒドールによる秘密選挙で選ばれ,再選は原則として禁止された。レヒドールは副王によって任命されるか,住民の選挙により選任され,大半はエンコメンデロ(エンコミエンダ)であった。一般に大都市ではアルカルデ・オルディナリオは1名,レヒドールは12名が定員とされたが,リマのカビルドは18名,メキシコ市のカビルドは15名のレヒドールを擁した時代もあった。
カビルドは法人として都市の司法行政と経済活動の安定化に重要な役割を負った。農牧畜業を統制したり,物価の安定を図り,無益な競争を避けるため,組合組織や手工芸品の生産を監視したりした。コレヒドールの越権行為から都市を守ったり,山林草木や水源に対する共有権を確保するために,都市の管轄範囲を定め,新しい住民には土地を譲与したりした。しかし植民地が安定するにつれて,カビルドは本来有していた権力を次第に国王に制約され,閉鎖的な組織となった。官職も売買されたり世襲化されたりして,植民地時代末期には進んでカビルドに奉職しようという有力な市民はいなくなった。時々事態の重要性にかんがみ〈カビルド・アビエルト(公開市参事会)〉が開かれることがあり,これには住民全員が参加した。とくに征服時代によく開かれ,民主的な性格をもつものではあったが,植民地の行政が安定した時代(16世紀後半~18世紀)にはあまり開催されなかった。18世紀末から19世紀の初頭,カビルド・アビエルトは独立運動を支え,かつ統治者に対する民意を表すためにしばしば開催された。
執筆者:染田 秀藤
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 副王領の行政区画は直轄領のほかに総監領と長官領があり,だいたいこの区画ごとにアウディエンシアが置かれた。その下位に総督領(ゴベルナシオン)とか地方(プロビンシア)が位置し,さらにそれはコレヒミエントcorregimientoやアルカルディア・マヨールalcaldia mayorに細分され,最下部にカビルドもしくはアユンタミエントと称される市参事会統轄の町があった。もっとも18世紀後半,ブルボン朝支配下,とくに財政の効率化を目的としてインテンデンシア制intendenciaが導入された結果,コレヒミエントやアルカルディア・マヨールは廃止された。…
…その際,アウディエンシアの長官は統治者として行動したが,一般に軍事的権威は副王に留保されていた。一方,地方行政は普通コレヒドールと呼ばれる王室官吏に任され,彼らはそれぞれの領域内で最高の司法および行政権を行使し,カビルドでは国王の利害を代表した。コレヒドールにはスペイン人の町を統轄するものと王室への貢納義務を負う先住民インディオの村や町を治めるものの2種類があり,後者はコレヒドール・デ・ロス・インディオスと呼ばれ,任期は3年で,白人による不正行為からインディオを保護することを主要な任務とした。…
※「カビルド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新