カーケンドール効果(読み)カーケンドールコウカ(その他表記)Kirkendall effect

デジタル大辞泉 「カーケンドール効果」の意味・読み・例文・類語

カーケンドール‐こうか〔‐カウクワ〕【カーケンドール効果】

二つの異なる種類金属を密着させて加熱すると、その境界面が移動する現象結晶内の空格子点熱運動で移動し、それを介して金属原子拡散すると考えられている。1947年に米国の化学者カーケンドールが発見

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法則の辞典 「カーケンドール効果」の解説

カーケンドール効果【Kirkendall effect】

2種の合金の接触境界面が原子の拡散によって移動すること.カーケンドール(E. O. Kirkendall)は,純銅黄銅との境界面にモリブデンの細線を埋め込んだ試料を使い,高温で保持して拡散を行わせた(モリブデンは銅や亜鉛とは反応しないので,最初の境界面の位置を示すマーカーとなる).時間とともに測定を繰り返した結果,黄銅側から純銅へと拡散した物質の量が,純銅側から黄銅へ拡散した物質量よりもずっと多いこと,つまり亜鉛原子のほうが銅原子よりも拡散速度が大きいことが判明した.この結果をもとに合金成分の拡散の原子的機構を解明し,拡散係数を決定するのにきわめて有効であった.

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化学辞典 第2版 「カーケンドール効果」の解説

カーケンドール効果
カーケンドールコウカ
Kirkendall effect

2種類の固体の面を密着させ,高温で加熱して原子(イオン)を拡散させるとき,相互拡散する成分の拡散係数に差があると境界面が移動する現象.1947年にE. Kirkendallらにより黄銅-銅系で発見され,その後,酸化物-酸化物系についても認められている.この効果が起こるのは拡散が空格子点や格子間原子(イオン)によって行われるためであって,原子(イオン)の直接変換では起こらない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーケンドール効果」の意味・わかりやすい解説

カーケンドール効果
カーケンドールこうか
Kirkendall's effect

2つの種類の異なる金属を密着させて加熱すると,その境界面が移動する現象。 1947年 E.O.カーケンドールにより発見された。完全に原子が充填されている結晶ならば,異種原子侵入は不可能のはずであるが,結晶内に原子空孔があり,それが熱運動で移動すると考えれば,空孔を媒介として異種原子の侵入すなわち拡散が説明できる。したがって,この効果の発見は原子空孔の存在を証明するものとされている。

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