日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガガーリン石」の意味・わかりやすい解説
ガガーリン石
ががーりんせき
gagarinite
ナトリウム、カルシウムおよびイットリウム族希土類を主成分とする複ハロゲン化鉱物。セリウム族希土類置換体のザヤク石zajacite-(Ce)(化学式Na(Ca,Ce)2F6)とともにガガーリン石系を構成する。自形は六角短~長柱状。アルカリ花崗岩(かこうがん)ないし閃長岩(せんちょうがん)中の脈中に産する。外国では、アメリカ・ワシントン州や、ロシア・シベリア地方(カテューギンKatugin山、サンギーリンSangilen高原)などから産する。ノルウェーのギェルデンゲンGjerdingen湖で産出されたもののなかには1センチメートルを超えるものがある。日本では未産出。
共存鉱物は微斜長石、曹長石、ジルコン、エジリン輝石、イットロ蛍石あるいは蛍石、閃亜鉛鉱、菱鉄鉱(りょうてっこう)、バストネス石など。同定はハロゲン化物の特徴の一つとして屈折率が低い(ω(オメガ)=1.472~1.475、ε(イプシロン)=1.490~1.493)ため、結晶の透明部分でもガラス光沢で光り方が鈍いこと、条痕(じょうこん)に透明度があることなどであるが、そのわりに比重は4.27と大きい。命名は最初の宇宙飛行士ガガーリンにちなむ。
[加藤 昭]