オランダ領アンティル(読み)オランダりょうアンティル(英語表記)Netherlands Antilles

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル
オランダりょうアンティル
Nederlandse Antillen

西インド諸島東部,小アンティル諸島にあった,かつてのオランダ自治領ベネズエラ北西岸沖にあるキュラソー島(→キュラソー)とボネール島(→ボネール)からなる南部島群と,それらの北東約 800km,リーワード諸島中にあるシントエースタツィウス島(→シントエースタツィウス),サバ島(→サバ),サンマルタン島南部(→シントマールテン)からなる北部島群によって構成された。行政府所在地はキュラソー島のウィレムスタト。南部島群はおもに火成岩からなる比較的平坦な島々で,サンゴ礁に囲まれる。初めスペイン人が入植したが,17世紀前半岩塩資源を求めてやってきたオランダ人が占領。17~18世紀奴隷や農産物の貿易で繁栄。オランダ領西インド諸島と呼ばれたが,1845年オランダ領の 6島を統合。1954年名称をオランダ領アンティルに変更し,内政自治権を獲得した。1986年,アルバ島(→アルバ)が分離。20世紀ベネズエラの油田が開発されてから,アメリカ合衆国資本による石油精製が盛んになり,1985年から自治政府が買い上げて運営し,主産業となった。北部島群は火山島で,最高点はサバ島の 860m。南部島群ほど乾燥は著しくなく,ハリケーンが多い。17世紀前半ヨーロッパ人が入植,サトウキビワタ栽培中継貿易で繁栄。公用語オランダ語であるが,南部島群ではパピアメント語(スペイン語,オランダ語,ポルトガル語混成語),北部島群では英語が優勢。2010年にオランダ領アンティルが解体され,各島はオランダの自治領または自治体として,それぞれ分離した。面積 800km2。人口 20万4000(2010推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル
おらんだりょうあんてぃる
Netherlands Antilles

西インド諸島にあったオランダの自治領。カリブ海南部、ベネズエラの北西にあるアルーバ島、キュラソー島、ボネール島と、リーワード諸島中のサン・マルタン島(島の北部はフランス領)、サバ島、セント・ユスタティウス島の6島からなる。1986年にアルーバ島が単独の自治領として分離。残った5島も2010年に解体、キュラソーとサン・マルタン両島は単独の自治領となり、ボネール、サバ、セント・ユスタティウスの3島はオランダに編入された。1995年当時の面積809平方キロメートル、人口20万7333。中心都市はキュラソー島のウィレムスタット。住民の多くは先住民、アフリカ人、スペイン人、オランダ人などの混血。オランダ領アンティルは、オランダ王国憲章に基づきオランダと同等の立場に立ち、ほぼ独立国に等しい政治体制を有したが、外交、防衛についてはオランダが権限をもっていた。

[菅野峰明]

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