改訂新版 世界大百科事典 「クマヤナギ」の意味・わかりやすい解説
クマヤナギ
Berchemia racemosa Sieb.et Zucc.
枝が長くのび他物におおいかぶさったり,巻きついたりするつる性のクロウメモドキ科の落葉低木。枝は緑色で無毛。葉は卵形または長楕円形で全縁,側脈は明らかで,斜上し縁で内曲する。裏面は白色を帯びる。花は7~8月,枝の先端部に円錐花序をなして多数つく。萼片は5枚で,小型の花弁とその内側に包まれるように5本のおしべがある。果実は核果で5~7mm,赤くなった後,黒くなり,中に1個の核をもつ。北海道,本州,四国,九州,琉球に分布する。昔はこの木で馬のむちを作ったと言われる。また新潟地方でかんじきを作るというが,とりたてて利用されることはない。熟した果実は子どもが食用にする。
執筆者:岡本 素治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報