腸炎(読み)チョウエン

  • enteritis
  • ちょうえん チャウ‥
  • ちょうえん〔チヤウ〕
  • 腸炎(腸疾患)

百科事典マイペディアの解説

腸カタルとも。大・小腸の炎症。下痢,腹痛,腹鳴などがある。原因は食中毒,消化不良,ウイルス感染など。小の炎症では発熱を伴うことが多い。食中毒の場合は悪心(おしん),嘔吐(おうと),高熱がある。治療には食事療法のほかサルファ剤抗生物質投与。→大腸炎
→関連項目生体小腸移植

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大辞林 第三版の解説

細菌感染や暴飲暴食などによって腹痛・下痢・嘔吐・腹鳴・発熱などがみられる状態に対する臨床上の診断名。急性と慢性があり、多くは急性。腸カタル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腸粘膜の炎症で、一般に急性と慢性に分けられる。かつて使われた用語の「腸カタル」は、腸粘膜の炎症による漿液(しょうえき)性浸出液に粘液が混じたものをさし、急性腸炎とほとんど同義語である。また、解剖学的には小腸炎と大腸炎に分けられるが、臨床的には小腸の炎症が大腸に波及する場合が多く、一括して腸炎とよんでいる。なお、急性胃炎に続発することも多く、この場合は急性胃腸炎とよばれている。[柳下徳雄]

急性腸炎

急性の経過で下痢、嘔吐(おうと)、腹痛、ときに発熱がみられ、腹部を圧しても腹筋が緊張して患部を防御するように硬くなること(筋防御)がない場合を急性腸炎とよぶが、内容はかなり漠然としている。すなわち、腸に炎症をおこす原因はきわめて多く、その病因によって発症する疾患もまた多いが、原因や原因疾患が不明のまま対症療法が行われ、症状が急速に回復してしまう場合、あるいは単なる腸運動の亢進(こうしん)による急性下痢症なども含まれている。代表的なものをあげると、各種の細菌性食中毒など感染性腸炎群がもっとも多く、そのほか、いわゆる菌交代症による腸炎、クローン病や潰瘍(かいよう)性大腸炎、あるいはアレルギー性腸炎などの非感染性腸炎があり、なかには尿毒症や癌(がん)など全身性疾患の一症状として現れる腸炎もある。したがって症状も、原因疾患の種類、強さ、広がり、場所などによって異なるが、下痢、腹痛、腹部の不快感は共通しており、発熱や嘔吐を伴う激しい下痢の場合は感染性腸炎の疑いが濃厚である。多量の水様便があり、臍(さい)部を中心とした圧痛がみられる場合は小腸の病変が疑われ、粘液便や血便のある場合は大腸に病変を認める感染性腸炎が多い。
 治療としては、原因や原因疾患を調べたうえで、それに対する適切な処置を行うのが原則であるが、頻回の下痢のために脱水症状を呈し、ひどい場合はショックをおこすこともあるので十分な輸液を行う必要がある。一般には安静と絶食によって腸管内容物をできるだけ早く排出させ、年齢に応じた食事療法を行うとともに、全身症状を管理することが中心となる。[柳下徳雄]

慢性腸炎

慢性腸炎は比較的長期にわたる下痢あるいは便通異常を呈する症候群であり、急性腸炎に比べて症状は軽いが、治癒しにくい腸炎である。原因不明のものが多いが、急性腸炎からの移行をはじめ、胃無酸症、膵臓(すいぞう)の機能低下、アルコールの常用などが考えられ、腸の機能性異常ともみられている。実際に炎症性変化のあるものはクローン病、潰瘍性大腸炎などとよばれ、別に扱われている。飲食物が消化不十分のまま腸内を通過するため、便は発酵性または腐敗性であり、粘液も混じる。治療は保温、安静、食事療法が中心となる。[柳下徳雄]
『斎藤誠・中谷林太郎・松原義雄編『日本の感染性腸炎――感染性腸炎研究会25年間の研究調査総括』(1986・菜根出版) ▽入交昭一郎・斎藤誠・中谷林太郎・松原義雄監『日本の感染性腸炎2』(1997・菜根出版) ▽寺野彰編『やさしい小腸・大腸疾患の自己管理』(2001・医薬ジャーナル社)』

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内科学 第10版の解説

 十二指腸から空腸,回腸,結腸直腸までの炎症をまとめて腸炎とよぶことがあるが(十二指腸は除かれていることが多い),その成因によって罹患部位,症状,経過が異なる.分類は大きく経過による分類と原因による分類(表8-5-2)に分けられる.経過による分類では,約2週間以内に炎症がおさまる急性腸炎と,炎症がそれ以上続く慢性腸炎に大別される.急性腸炎は頻度が非常に多く,単に腹痛,下痢,発熱といった共通した臨床症状だけから命名されることが多い.対症療法で原因不明のまま治癒することが多い.一方,慢性腸炎は症状の発現,経過がゆるやかであるが,原因不明の疾患や難治性疾患のものも少なくない.この項目では急性腸炎に絞ることにする.[峯 徹哉]
■文献
Cantey JR: Infections diarrhea. Pathogenesis and risk factors. Am J Med, 28: 65-75, 1985.

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