ノゴマ(英語表記)Luscinia calliope; Siberian rubythroat

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ノゴマ
Luscinia calliope; Siberian rubythroat

スズメ目ヒタキ科全長 15~16cm。雌雄異色。雄は頬を縁どる顎線が白色,喉が鮮紅色で,すぐにこの種とわかる。眉斑も白色で,背面がオリーブ褐色である。雌はたいてい顎線を欠き,喉が白いが,薄く赤い個体もいる。低木に留まり,尾を上げて美しい声でさえずる(→さえずり)。シベリアからカムチャツカ半島モンゴル北部,東アジア北部と,中国南部中央に繁殖分布する。非繁殖期はインド東部からインドシナ半島,中国南部の沿岸地方,タイワン(台湾)フィリピンに渡って越冬する。日本では北海道草原や灌木林で繁殖し,岩手県でも繁殖例がある。南西諸島で越冬する鳥もいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ノゴマ (野駒)
Siberian ruby-throat
Erithacus calliope

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約16cm。上面オリーブ褐色で下面は淡色。雄はのどによく目だつ鮮紅色の斑紋をもつが,雌にはそれがない。眉斑と顎線(がくせん)は白い。中部シベリアから沿海州カムチャツカにかけてとヒマラヤで繁殖し,北のものは冬季南アジアに渡る。日本には夏鳥として4,5月に渡来し,北海道で繁殖する。本州以南では旅鳥として春と秋に通過するだけだが,岩手県早池峰山では夏季に生息が確認されているので,繁殖するかも知れない。北海道では海岸付近から高地の草原や低木林に生息する。なわばり性が強く,雄はなわばり内の目だつ草や低木の上でチュルチュルチュルリーと聞こえる声でさえずる。地上付近で採食することが多く,やぶの中を潜行したり,地上を跳び歩いて餌をさがす。昆虫を食べるほか,植物の種子も食べる。枯草コケを使って側面に入口のある球形の巣を地上につくる。1腹の卵数は3~5個。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ノゴマ
のごま / 野駒
Siberian rubythroat
[学] Erithacus calliope

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。中国西部からカムチャツカ半島まで、樺太(からふと)(サハリン)、北海道で繁殖し、冬はインド、東南アジア、中国南部で過ごす。北海道では、海岸と高山の、低木のある草地に渡来し、6、7月に倒木などの物陰に巣をつくり、4、5卵を産む。抱卵は雌のみ、育雛(いくすう)は雌雄が共同で行う。全長約15センチメートル、全身褐色で、下面は淡く、白い眉斑(びはん)が目だつ。雌はのどが白く、雄は赤い。このため「日の丸」とよばれることがある。地上を跳ね歩きながら、また草むらや低木の枝で昆虫など小動物をとり、植物質はほとんど食べない。

[竹下信雄]

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百科事典マイペディア 「ノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ノゴマ

ヒタキ科の鳥でコマドリに近縁。翼長7.8cm。全体が褐色を帯びたオリーブ色。腹は淡色。雄はのどが赤い。東アジア北部で繁殖し,北海道に夏鳥として渡来。冬は東南アジアに渡る。河原,農耕地や山地のハイマツ帯などの開けた場所にすみ,地上に巣を作る。おもに昆虫を食べる。雄は遠くまで響く美しい声でさえずる。

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