コミーヌ(読み)こみーぬ(英語表記)Philippe de Commynes (Commines)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミーヌ」の意味・わかりやすい解説

コミーヌ
こみーぬ
Philippe de Commynes (Commines)
(1447?―1511)

フランスの年代記作家、政治家。フランドル町人貴族の出身。17歳でブルゴーニュ公家に仕えたが、フランス王ルイ11世に魅せられ、1472年ブルゴーニュ公シャルル・ル・テメレール(シャルル勇胆王)のもとを離れ、フランス宮廷に鞍(くら)替えした。ルイ11世とは気心が通じ重用される。その死後摂政(せっしょう)アンヌ・ド・ボージュAnne de Beaujeu(1461―1522)と対立し一時投獄されたが、1493年シャルル8世に召喚され、外交官として活躍。ルイ12世のもとではイタリア戦争に従軍した。その『回想録Mémoires8巻(1489~1498執筆)は、ルイ11世とシャルル8世の事績(1464~1498)を記すが、6巻までのルイ王の政治手腕を述べた部分(1524刊)が優れ、「真に近代的な最初の著述家」(サント・ブーブ)と評される。

[安斎和雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コミーヌ」の意味・わかりやすい解説

コミーヌ
Commynes, Philippe de

[生]1447頃.フランドル,ルネスキュール
[没]1511.10.18. アーンドル,アルジャントン
フランスの歴史家。フランドルの貴族の生まれで,1464~72年ブルゴーニュ公に仕えたのち,フランス国王ルイ 11世のもとに走り,以後3代の国王の顧問官を務め,おもに対外交渉の任にあたった。シャルル8世の代には政争に巻き込まれて一時投獄されたこともある。 1489年『回想録』 Mémoiresの執筆を始め,ルイ 11世の治世をまとめ (第1部) ,1494~95年イタリア遠征に参加,その体験を第2部に書き上げた (1498完成) 。この『回想録』 (1524~28刊) には,2代にわたる王の治世と出来事が理性的な態度で描写されており,批判的歴史書の先駆をなす。

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