古生代の石炭紀からペルム紀(二畳紀)にかけて繁栄した裸子植物の絶滅群コルダイテス類の基準属。南北両半球に分布した木本で、日本では宮城県登米(とめ)市のペルム紀米谷(まいや)層群(米谷植物群)から多産する。高木から湿地性の灌木(かんぼく)まで生活型は多様である。葉は幅3~7センチメートルの帯状で長さ10~20センチメートル、ときに1メートルに達し、葉脈は中肋(ちゅうろく)のない平行脈を特徴とする。南半球ゴンドワナ大陸のものはネゲラチオプシスNoeggerathiopsisとよばれ、北半球のものより一般に小形でへら型である。樹幹化石はコルダイキシロンCordaixylonあるいはメソキシロンMesoxylonとよばれているもので、材構造で区別される。
生殖器官の化石はコルダイタントゥスCordaitanthusとよばれ、これは雌雄別で、いずれも細長く伸びた穂を形成する。雌性生殖器官は主軸上の葉(包葉)とその上側つけねに生じた生殖枝が単位となって、主軸上に繰り返されたもので、同じ基本構造は非常に単純化されてはいるが現在の球果植物(針葉樹類)とグネツム類にもみられる。このため、両者との類縁が示唆されている。しかし、受精方法に花粉管受精と精子受精の両方が確認されているなど、形質に多様性がみられることから、複数の系統を含む群である可能性も指摘されている。
[西田治文]
『西田誠編、進化生物学研究所・東京農業大学農業資料室共同企画『進化生研ライブラリー4 裸子植物のあゆみ――ゴンドワナの記憶をひもとく』(1999・信山社)』
約3億~2億年前の石炭紀,二畳紀に繁茂した代表的な裸子植物の葉につけられた形態属名。この葉をもつ植物は針葉樹類の祖先系と考えられている。樹幹は30mにも達する高木で,頂端近くに樹冠をつくり,葉はらせん状に配列し,現生のユッカの葉に似て単葉,平行脈を示し,大きいものでは長さ1m,幅15cmにも達した。葉の形によって,鈍頭のものをユーコルダイテスEu-Cordaites,鋭頭のものをドリコルダイテスDory-Cordaites,幅の狭いものをポアコルダイテスPoa-Cordaitesと区別して呼ぶことがある。樹幹は針葉樹と同じく真正中心柱をもつが髄は大きく直径1.5cmにも達する雌雄別々の球果をつくり,コルダイアンサスCordaianthusと呼ばれる。コルダイテス類から葉は極端に小型となり,髄も小型化し,球果も単純化し,二畳紀に産するレバキア科Lebachiaceaeを経て現生の針葉樹類に進化したと考えられている。1mもあるコルダイテスの葉が同じ古生代後期のなかで1cmくらいのレバキアの葉に変わりうるかと疑問をもつ学者もある。
執筆者:浅間 一男
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