デジタル大辞泉 「す」の意味・読み・例文・類語
す[助動]
1 相手が自分の思うようにするように、また、ある事態が起こるようにしむける意を表す。
「例の声
2 動作を他に任せておいて結果的にそうなることを表す。…のままにする。…させておく。
「ただ兄弟二人あるものが、兄を討たせて、
3 (多く「たまふ」など尊敬の意を表す語とともに用いられて)尊敬の意を強める。なさる。
「また入らせ給ひて、さらにえ許させ給はず」〈源・桐壺〉
「うれしやと思ふと告げ聞かするならむとのたまはする御けしきもいとめでたし」〈枕・八〉
4 (謙譲の意を表す語とともに用いられて)謙譲の意を強める。…申し上げる。→さす →しむ
「壺の薬そへて、頭中将呼びよせてたてまつらす」〈竹取〉
[補説]平安時代以降、漢文訓読文の「しむ」に対し、主に和文系統の文章に用いられた。中世以降、下一段化して、現代語の「せる」となる。2は、多く、中世の軍記物語にみられる用法で、受け身の意にとれるものもある。
す[助動]
「我が形見見つつ
[補説]「思ふ」「聞く」などに付くときは、「思ほす」「聞こす」となる。また、「着る」「
す[五十音]
2 平仮名「す」は「寸」の草体から。片仮名「ス」は「須」の末3画の行書体から。
[補説]「す」は古く[tsu](あるいは[ʃu][tʃu])であったかともいわれる。室町時代末にはすでに[su]であった。