サントニン(読み)さんとにん(英語表記)santonin

翻訳|santonin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サントニン」の意味・わかりやすい解説

サントニン
さんとにん
santonin

駆虫薬無色の結晶または白色の結晶性粉末で、においはなく、味は初めはないが後にわずかに苦い回虫蟯虫(ぎょうちゅう)、鞭虫(べんちゅう)の駆除に用いる。キク科の植物であるシナヨモギミブヨモギクラムヨモギの開花直前のつぼみにもっとも多く含まれており、これらの植物の種子状をした小花頭をシナ花(通称セメンシナsemen cina)といい、これから1830年にドイツで結晶として初めて抽出され、メルク社からサントニンの名で発売された。かつて、日本ではセメンまたはセメン円(えん)とよばれた。ミブヨモギは、日本新薬がヨーロッパ産の種子を入手して、京都市の壬生(みぶ)で試作したのでこの名がついた。副作用として黄視症がみられ、頭痛、悪心(おしん)、腹痛などが現れ、肝障害のあるところから、アメリカでは使用していない。成人では1回0.1グラムを夜に服用し、翌朝、朝食前に0.1グラム服用する。極量は1日0.3グラム。粉末、錠剤(20ミリグラム含有)がある。マクリの有効成分であるカイニン酸との合剤のカイニン酸・サントニン散もある。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サントニン」の意味・わかりやすい解説

サントニン
santonin

寄生虫の代表的なものである回虫を駆除するための駆虫剤の一つ。回虫は全世界に分布するきわめて大きい線虫で,日本では近年ほとんどみられなくなっていたが,自然農法普及や外国からの輸入野菜の激増などに伴い,再び増加する傾向がみられる。サントニンはキク科のセメンシナの花やミブヨモギから得られる成分 (セスキテルベン) の一つで,回虫に直接作用して麻痺状態にして,体外に排出させる。黄視,頭痛などの副作用があり,肝機能障害のある人は使用できない (→サントニン中毒 ) 。最近は回虫のほか蟯虫,鉤虫などいろいろの寄生虫にきくピランテルなどの広域駆虫剤が広く用いられる。

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