トラップ(英語表記)trap

翻訳|trap

デジタル大辞泉 「トラップ」の意味・読み・例文・類語

トラップ(trap)

排水管の途中に用い、臭気を封じる装置。S字・P字形などの管で、中にたまった水によって臭気が逆流するのを防ぐ。防臭弁。
蒸気配管の水抜き装置。
クレー射撃で、皿状の標的を飛ばす装置。
動物を捕獲するための用具。わな。
トラッピング

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精選版 日本国語大辞典 「トラップ」の意味・読み・例文・類語

トラップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] trap )
  2. 射撃の標的として、空中に粘土製の鳩を飛ばすしかけ。放鳥器。
    1. [初出の実例]「トラップでピストルの練習をやることになってゐるのでね」(出典:寝園(1930‐32)〈横光利一〉)
  3. 排水管の一部を湾曲させて常に一定量の水をためて、下水などから臭気が逆流するのを防ぐしかけ。〔新住居入門(1963)〕
  4. 蒸気配管の水を抜く装置。
  5. バネつきの軽二輪馬車。
  6. サッカーで、ボールの勢いを殺して、自分のコントロール下におくこと。
  7. 動物を捕獲するための用具。わな。〔外来語辞典(1914)〕
  8. きめの細い黒ずんだ、柱状節理の発達した火成岩の総称。特に玄武岩。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「トラップ」の意味・わかりやすい解説

トラップ
trap

(1)わなとか落し穴の意味だが,石油地質学では石油が集積されるような地質条件を備えた場所をいう。石油は一般に水よりも軽いから,地層中を上方へ移動する。その移動を妨げるなんらかの異常が存在すると,石油はそこに停滞,集積して油田が形成される。移動しようとする石油が引っかかって進めなくなる場所という意味でトラップという。トラップは,構造トラップ,層位トラップおよび両者の組合せトラップに大別される。褶曲,断層などの地質構造において油田が形成されるのが構造トラップである。このうち最も重要なのは褶曲運動によって形成される背斜トラップである。世界全体の油田数あるいは埋蔵量のなかで背斜トラップの油田が占める比率は85~90%もある。世界最大の油田,サウジアラビアガワール油田,世界最大のガス田,ロシアのウレンゴイ・ガス田はいずれも背斜トラップである。層位トラップは層序または岩質の変化によって形成された油田である。砂の尖滅トラップ,礁トラップのような初生的層位トラップと,不整合トラップのような二次的層位トラップとに区分される。層位トラップの代表的油田としては,砂の尖滅トラップによるアメリカのイーストテキサス油田,礁トラップによるメキシコのポサリカ油田,不整合トラップによるアラスカのプルドー・ベイ油田などがある。さらに各種の組合せトラップの代表的油田としては,砂の尖滅+断層トラップのベネズエラボリーバル・コースタル油田,礁+背斜トラップのアブ・ダビーのマーバン・ブハッサ油田,砂の尖滅+背斜トラップのアメリカのパンハンドル油・ガス田などがある。
執筆者:(2)液体,気体,蒸気などを輸送する配管系から,その主要流体とは異質または異相の流体のみを自動的に排出する弁。具体的には,水配管からの空気排除を目的としたベント,空気配管からの凝縮水の排除を目的としたエアトラップ(空気トラップ),蒸気配管からの復水の排除を目的としたスチームトラップ蒸気トラップ)などがある。自動排出の原理は,排出する流体が一定量に達すると,密度差を利用して弁を開放するものが多い。スチームトラップのうちフロート式の構造を図に示す。復水が一定レベル以上に達すると,球状のフロートが浮き上がり,排出口を開いて復水を排出する。レベルが下がるとフロートが沈下し,排出口が閉じられる。排出口はつねに復水レベル下にあり,蒸気が直接排出されることはない。上部のふたに取り付けられたバイメタルと空気抜き孔は,冷えたときに侵入した空気を排出するためのもので,熱い蒸気が入り込んでバイメタルが変形し孔をふさぐまで,ベントの役割を果たす。

 なお,下水の排水などにおいて,管部をS字形やU字形に曲げ,その部分にたまる水によって悪臭の逆流を防ぐものもトラップという。
執筆者:


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岩石学辞典 「トラップ」の解説

トラップ

古くスカンジナビアで使用されていた語であって,もともとはスウェーデンの鉱山師の用いた俗語.当時この岩石は,粗粒な花崗岩や多孔質の火山岩を除いた多くの緻密な岩石の総称であった.後には,輝緑岩,玄武岩,安山岩その他塩基性から中性の火成岩などに対して用いられるようになり,変閃緑岩(epidiorite),変輝緑岩(epidiabase)などのように軽く変質したものも加えられていた.
リンマンはトラップ(trapp)を学術語として初めて使用し,岩脈で長方形の塊に割れるものとのべた[Rinman : 1754].これはこの名称が節理に関係しているが明瞭な意味はなく,ステップ上で塊状に産するすべての火成岩に使用されたため,ライエルはこの語を,多分トラップからできている平らな熔岩流や岩床を基礎とした丘の側面の地形的な台地か階段に由来すると誤解したらしい[Lyell : 1833, Tomkeieff : 1983].その後,ブロニアールはトラップ岩(trappite)と呼んだ[Brongniart : 1827].またマックローがやや詳しい岩石の記載を行い,さらにドイツの多くの教科書にも採用された[MacCulloch : 1831].ゲイキーは古生代中生代,新生代の地層に産する火山岩と同じ意味の言葉であると提案している[Geikie : 1871, Hatch : 1888].その間に次第にそれぞれの示す範囲が狭まる傾向にあり,ワインシェンクは一般の玄武岩よりもやや酸性の斑糲(はんれい)岩から閃緑岩に相当するものと提唱した[Weinschenk : 1905].この語は広く一般に用いられ,有名な適用例はインドのデカン・トラップ(Deccan Traps)で塩基性岩の野外の総称として用いられた.しかし次第に用いられなくなり,現在ではほとんど使用されない.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

化学辞典 第2版 「トラップ」の解説

トラップ
トラップ
trap

】気体の流路に冷却部または吸着剤などを用いて,蒸気を捕そくする作用をするものをトラップという.たとえば,拡散ポンプと高真空部との中間にトラップを入れて,拡散ポンプの作動液の蒸気を捕そくして,逆拡散を防ぐと,よい高真空が得られる.トラップにはガラス製や金属製のものがあり,寒剤としてドライアイス-アセトン,液体窒素などがよく使用される.吸着剤を用いるトラップとして,活性炭活性アルミナ,人工ゼオライトモレキュラーシーブなどが用いられる.ガスの種類により還元金属はくを用いることもある.また,液体の流路から重い液体や固体を分離する装置もトラップとよばれる.【】スチーム配管の中途または末端に置いてドレン(drain)を抜き,必要があればドレンを給水に戻して空気を抜くもので,ベロー型,フロート型,上向バケット型,下向バケット型などの種類がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「トラップ」の意味・わかりやすい解説

トラップ

(1)わなとか落し穴の意味であるが,石油地質学では石油が集積されるような地質条件を備えた場所をいう。背斜構造(背斜トラップ),断層(構造トラップ)など。石油は一般に水よりも軽いから,地層中を上方へ移動する。移動しようとする石油が引っかかって進めなくなる場所という意味でトラップという。(2)液体と気体が共存する管路で,気体の流通を阻止し液体だけを排出する装置。蒸気暖房のラジエーター出口などに取り付け,フロート装置などにより凝縮水のみを排出する蒸気トラップ,便器の排水管などで臭気の逆流を防ぐ各種の曲管などがある。
→関連項目油層油田

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「トラップ」の解説

トラップ

例外処理プログラムにエラーなどが生じた場合、OSに処理を戻し、処理の流れを制御すること。例外処理とも呼ぶ。ゼロ除算や加算によるオーバーフローなどが生じた場合に発生する。例外処理印刷多色刷りを行う際に、図形の縁に隙間が生じないように、境界部分にわずかに重なりを作ること。図形と背景に共通した色が使われていない場合は、色分解によって別々の製版フィルムに出力される。印刷では色分解した製版フィルムをもとに色を重ねていくため、わずかな隙間があると、下地の紙の色が見えてしまう。これを防ぐため、文書ファイルを作成する段階で図形と背景の境界部分に重なりを作ることが多い。オーバープリント色分解

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラップ」の意味・わかりやすい解説

トラップ
trap

真空排気系に挿入された,凝結または吸着されやすい気体をとらえる装置。液体窒素または寒剤を入れた金属容器を真空にさらし,金属面に凝結させたり,冷却した活性炭を真空にさらしてこれに吸着させる。拡散ポンプからの逆流蒸気を阻止したり,真空容器からの水蒸気などがポンプに入り込むのを防ぐ。また,トラップ自身が排気作用をもつので高真空度を得ることを助ける。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「トラップ」の解説

トラップ【trap】

➀排水トラップ。⇒排水トラップ
蒸気暖房で、配管の水を抜くための装置。

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リフォーム用語集 「トラップ」の解説

トラップ

下水その他の排水管などから悪臭や汚染空気・ガスなどが逆流するのを防ぐために、排水管の接続管部や屋内排水末端部に設けられたU形やP形などの管内に水を貯める装置。

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世界大百科事典(旧版)内のトラップの言及

【排水設備】より

…建物の排水設備に要求される基本的な性能としては,不用な排水を静かにかつすみやかに敷地外の公設の下水道などに排出すること,下水管内の悪臭ガスが建物内に侵入しないようにすることなどがある。このガスの侵入を防止する目的で各器具に設けられるのがトラップである。洗面器の下で排水管がU字形に曲がっているのはその例で,この部分につねに水(封水という)が存在するようにして悪臭の逆流を防止する。…

※「トラップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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