ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シオマネキ」の意味・わかりやすい解説
シオマネキ
Uca arcuata
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節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目スナガニ科に属するカニ。有明(ありあけ)海や九州南部に分布するほか、朝鮮半島、中国北部からも記録がある。甲幅3センチメートルほどで、甲の後方が強く狭まっているため、左右の眼窩(がんか)外歯の間が甲の最大幅となる。雄の片方のはさみ脚(あし)が大きく、これを一定の形に振り上げては下ろす運動をする。この動作が潮が満ちてくるのを招いているようなのでシオマネキの名があるが、雌に対する求愛行動であると考えられる。雄のもう一方と雌の両方のはさみは小さく、先端がスプーン状。巣穴の周辺を縄張り(テリトリー)とし、定住性が高い。
シオマネキ類は世界で約60種30亜種が知られ、フィドラークラブfiddler crab(バイオリンを弾くカニの意)とよばれる。日本産は7種2亜種で、伊勢(いせ)湾以南にハクセンシオマネキU. lacteaが分布し、沖縄諸島にはオキナワハクセンシオマネキU. l. perplexaのほか、ヒメシオマネキU. vocansやベニシオマネキU. chlorophthalma crassipesが多い。
[武田正倫]
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