ショウドウツバメ(その他表記)Riparia riparia; sand martin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショウドウツバメ」の意味・わかりやすい解説

ショウドウツバメ
Riparia riparia; sand martin

スズメ目ツバメ科全長 12~14cm。日本に生息するツバメ類の最小種。過眼線より上の頭部背面,尾羽は褐色,腹面は白色で,胸に褐色の横帯がある。ユーラシア大陸と北アメリカ温帯冷帯に広く繁殖分布する。繁殖を終えると,アフリカのサハラ砂漠の南部や中央アメリカ,南部を除く南アメリカミャンマーからインドネシア北部,フィリピンなどに渡って越冬する。湖や河川海岸などの付近に生息し,湖畔河岸,海岸などの砂層の崖に長さ 20~100cmの横穴を掘って営巣する。集団繁殖し,1ヵ所の営巣場所には 10~2000つがいが集まる。日本では北海道で繁殖しているが,本州以南では渡りのときに通過する旅鳥(→渡り鳥)である。

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改訂新版 世界大百科事典 「ショウドウツバメ」の意味・わかりやすい解説

ショウドウツバメ (小洞燕)
sand martin
Riparia riparia

スズメ目ツバメ科の鳥。砂泥質の崖に横穴を掘って巣とするのでこの名がある。ユーラシア,北アメリカ両大陸の温帯から亜寒帯で繁殖し,それぞれの大陸の熱帯から南半球にかけて越冬する。日本では5月上旬ころ渡来,8月中旬~9月中旬に渡去する夏鳥で,北海道で繁殖する。本州以南では春秋に通過するだけの旅鳥だが,9~10月ころ各地の河川,海岸,湖沼などで大小の群れを見る。浜名湖や霞ヶ浦ではツバメとともに少数が越冬し,浜名湖ではねぐらに人家の室内も利用している。生息環境や習性は,営巣の点以外はツバメによく似ている。全長約12cm,上面は暗褐色,下面は白色で胸に褐色の横帯がある。尾は短く浅い燕尾。崖に深さ30~100cm,入口の直径5~10cmの横穴を掘って集団営巣する。卵は白色で,1腹3~5卵を産む。抱卵は約2週間,育雛(いくすう)約3週間ののち巣立つ。チュリ,チュリ,チュリとかわいい声で鳴く。
ツバメ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショウドウツバメ」の意味・わかりやすい解説

ショウドウツバメ
しょうどうつばめ / 小洞燕
sand martin
bank martin
[学] Riparia riparia

鳥綱スズメ目ツバメ科の鳥。同科ショウドウツバメ属3種中の1種。全長12.5センチメートル。ツバメ、イワツバメより小さい。背面、翼は灰褐色、下面は白色で、胸に灰褐色の帯がある。尾は、外側の羽がツバメ属の燕尾(えんび)ほど長くなく凹尾。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布し、冬季はアフリカ中部、南アメリカ中部にも現れる。日本では北海道で砂層の崖(がけ)に集団で営巣するが、本州以南では旅鳥。晩夏に本州、九州の海岸、河岸などの広い湿原に群れをなして姿をみせる。飛翔(ひしょう)中の昆虫類を食べる。

[坂根 干]

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百科事典マイペディア 「ショウドウツバメ」の意味・わかりやすい解説

ショウドウツバメ

ツバメ科の鳥。ツバメより小さく翼長10cm。背面は暗褐色,腹面は白色。ユーラシア大陸および北米大陸に広く繁殖し冬は南へ渡る。日本では北海道で繁殖し,本州以南では旅鳥。川に沿った砂質の崖に穴を掘って巣とし,集団繁殖する。和名は小洞ツバメの意。渡りの時には海岸や河口に多い。飛びながら昆虫を食う。

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