フランスの機械発明家。リヨンの絹織布工の家に生まれる。印刷所での製本や活字鋳造の徒弟を経て,織機の改良に取り組む。絹の紋織は18世紀を通じて工夫が行われたが,ジャカールはパリに残されたボーカンソンの織機の改良・工夫に取り組みながら,それまでの技術を集大成した紋織機をつくった。1801年ごろ完成し,04年に特許を取得した。この機械は,紋様に合わせ経糸(たていと)を選択して引き上げる動作を,穴をあけたカードによって自動的に制御するものであり,絹織物工業に画期的な変革をもたらした。06年にジャカールの発明はフランス国家によって買収され,彼は応分の処遇を受ける。この紋織機は,リヨン地方などで絹織布工による打ちこわしにあうが,フランス,そしてイギリスへと普及していった。また,この穴をあけたカードによる制御は,その後の自動ピアノや,イギリスの数学者C.バベッジの機械計算機のアイデアの発端となったとされる。ジャカールによるこの機械は一般にジャカードと呼びならわされている。
執筆者:奥山 修平
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紋織織機の発明者。フランスのリヨンに生まれる。工場で働きながら紋織機の製作に取り組み、1801年パリの産業博覧会に出品、その後も改良を重ねて、1804年には今日彼の名を冠してジャカード織機とよばれている機械の原形を完成した。原理は厚紙に孔(あな)をあけ模様を記憶させる画期的なもので、のちのパンチカードシステムの発端となった点でも注目される。この織機の出現によって仕事を奪われることを恐れた織工の反対にあうが、性能が認められてしだいに普及した。1806年フランス政府によって共同財産に指定され、年金と特許料が支給された。リヨンに銅像がある。
[篠原 昭]
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…空引機の技術はまずイタリアで,ついでフランスで発展し,1725年ブーションBasile Bouchonが紋紙を使用する装置を考案し,ついでファルコンM.Falcon,さらにボーカンソンJacques de Vaucanson(1709‐82)によって自動化が進められた。1801年から04年にかけてフランスのJ.M.ジャカールは彼らの装置を改造,さらに発展させ,今日のジャカードの基本技術を作りあげた。一方,イギリスでは1733年,ケイJohn Kay(1704‐64)が飛杼装置を発明し,力織機発明の端緒を作った。…
※「ジャカール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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