フランスの代表的な異常心理学者。パリに生まれ、高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)で学ぶ。サルペトリエール病院の心理実験室長、ソルボンヌ大学(パリ大学)教授、コレージュ・ド・フランスの教授などの要職につく。ヒステリーの二重人格に関する研究は有名で、フロイトの精神分析と類似したところもある。基本的には人格(精神)を統合と分化の過程と考え、統合的な力が弱まると解離が生じ、神経症や精神病の症状をおこすと考える。トラウマによって解離がおこるという考え方は、精神医学に大きな影響を与えた。おもな著書に『強迫現象と精神衰弱』(1903)、『ヒステリーの精神状態』(1907、1911)、『人格の心理的発達』(1929)などがある。
[外林大作・川幡政道]
『関計夫訳『人格の心理的発達』(1955・慶応通信)』▽『ピエール・ジャネ著、松本雅彦訳『心理学的医学』(1981・みすず書房)』▽『ピエール・ジャネ著、松本雅彦訳『解離の病歴』(2011・みすず書房)』
フランスの心理学者,精神医学者。哲学者ポール・ジャネのおい。サルペトリエール病院でJ.M.シャルコーに師事し,ヒステリーなどの臨床研究に従事した。正常な総合的精神活動と,過去の精神活動の反復にすぎない心理自動症を区別することによって精神病理学を確立,ついで心理自動症をその病的形態にもとづいて,ヒステリーと精神衰弱症に二大別した。さらに精神諸機能を階層的に8段階に分類し,おのおのの段階に心理学的諸機能を位置づけた。また晩年には,宗教病理現象や統合失調症の研究に力を尽くした。S.フロイトに先がけて同様な思想を講じたが,彼は最後までフロイトを理解しえなかった。著書に《ヒステリーの精神状態》(1893),《強迫観念》(1903),《神経症》(1909)などがある。また門下に,D.ラグーシュやH.エーがいる。
執筆者:武正 建一
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…子宮説に対して脳に問題があるとはじめてみなしたのは,ルポアC.Lepois(1618)であり,情緒因子が一次的だと考えたのはブローディB.C.Brodie(1837)である。しかし,ヒステリーに対してはじめて根拠のある理論を提出したのは,J.M.シャルコー(1887),P.ジャネ(1889),J.ブロイアー(1895),S.フロイト(1895)である。そして彼らのなかで,心理的要因をもっとも重視したのは,ブロイアーとフロイトであり,二人の共著になる《ヒステリー研究》も刊行されている。…
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