練習曲(読み)れんしゅうきょく

  • れんしゅうきょく レンシフ‥
  • れんしゅうきょく〔レンシフ〕
  • 練習曲 study

百科事典マイペディアの解説

演奏技術や表現力の向上を目的とした楽曲,または難度の高い特殊な技術を表現手法とした楽曲。フランス語でエチュードともいう。普通は1曲1曲が,音階やアルペッジョなどの特定の訓練に向けられる。18世紀以降のヨーロッパでは主に鍵盤(けんばん)楽器用のものが数多く誕生し,のちのショパンはこれに演奏会にもふさわしい形態を与え,リストも《超絶技巧練習曲》などを作曲。その後の作品としてはスクリャービンドビュッシーなどのものが広く知られる。→リチェルカーレ
→関連項目スカルラッティ

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世界大百科事典 第2版の解説

演奏技術の向上を目的とした楽曲,あるいは特殊な高度の技術を表現手法とした作品。エチュードétudeともいう。とくに16,17世紀に器楽曲が隆盛になるにつれて,作曲されるようになり,J.ダウランドの息子ロバートRobert Dowland(1591ころ‐1641)のリュート教則本《リュート・レッスンのさまざま》(1610)や,J.プレーフォードの出版したビオル教則本は初期の最も重要な練習曲に数えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音楽用語。フランス語のエチュードétudeの訳語。文字どおりには、器楽または声楽の演奏技術向上のためにつくられた楽曲のことをさすが、この意味では教則本など楽器や声の訓練のために書かれたあらゆるものが含まれる。しかしなかには、単に技術の習得だけを目ざすことを超え、音楽作品として充実した内容をもつものもある。こういった楽曲はどんな楽器を対象としてもありうるが、近代に入って楽器のより高度な演奏技術が要求されるようになったり、新しい楽器が出現することによって、練習曲はことさら重要な意味をもつことがあった。19世紀に入って書かれたピアノのためのそれは、まさにそうした代表的な例である。18世紀後半に普及が浸透していった新種の楽器ピアノは、初めのうちは旧来の鍵盤楽器との奏法上の違いがそれほど意識されなかったが、楽器自体の変革とともに、奏法が容易には習得しがたいものとなって、おびただしい練習曲が書かれるようになる。こうして生まれたのが、クレメンティ、ヨハン・B・クラーマー、チェルニー、モシェレスらのピアノ練習曲で、これらは今日なお、ピアノ学習者にとって最高の演奏技術を獲得するための習練の一つに数え上げられている。こうした過程を経て、ショパンの27曲の練習曲、リストの『超絶技巧練習曲』や『パガニーニによる超絶技巧練習曲』、さらにスクリャービンやドビュッシーの練習曲など、演奏会で取り上げられる作品も生まれるに至り、練習曲はピアノ音楽の一つのジャンルともなった。

[大崎滋生]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 主として器楽などの練習用に作られた楽曲。演奏技法などの習得をめざして作曲された楽曲。エチュード。
※家族会議(1935)〈横光利一〉「ピアノの練習曲の響いて来る中を」

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世界大百科事典内の練習曲の言及

【素描】より

…即興性と速写生を特質とする,簡単な素材による素描の総称であり,ルネサンス(16世紀)においては芸術的発想の第一段階としてもっとも重要視された。(2)習作study フランス語でエチュードétudeまたはエスキスesquisseという。スケッチと対照的に,ある対象を入念に観察し,研究するための素描をさす。…

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