日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストープス」の意味・わかりやすい解説
ストープス
すとーぷす
Marie Carmichael Stopes
(1880―1958)
イギリスの古生物学者、性科学者、産児制限運動家。地質学、植物学などを学び1904年に学位を得て、女性で最初のマンチェスター大学教員となる。多くの書を著して古生植物学、化石学の権威となった。1907年(明治40)に来日して、東京帝国大学で講義をしている。その後カナダの植物学者と結婚したが、性生活の不一致から1916年に離婚。その間、性問題について研究し、産児制限と性教育運動に献身、医師やカトリック教会などから攻撃され裁判事件にもなっている。結婚生活の性的調和を説いた『結婚愛』Married Love(1918)と『賢い親』Wise Parenthood(1918)はベストセラーになり、前者は十数か国語に訳された。ほかにも性についての啓蒙(けいもう)書は多数あり、第二次世界大戦後は極東地域でも産児制限運動を行った。
[白井尭子]
『『結婚愛』(平井潔訳・1953・理論社/青山節子訳・1976・鶏鳴出版)』▽『マリー・ストープス著、馬島們訳「避妊乃研究」(『性と生殖の人権問題資料集成5 産児調節運動編5 編集復刻版』所収・2001・不二出版)』▽『カーメン・ブラッカー著「マリー・ストウプス」(H・コータッツィ、G・ダニエルズ編、大山瑞代訳『英国と日本――架橋の人びと』所収・1998・思文閣出版)』