セベリーニ(読み)せべりーに(その他表記)Gino Severini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セベリーニ」の意味・わかりやすい解説

セベリーニ
せべりーに
Gino Severini
(1883―1966)

イタリア画家コルトーナに生まれ、ローマに出てボッチョーニを知り、ともにバッラのアトリエに出入りする。1906年、パリに移住して生涯を送る。初め印象主義やスーラ点描主義影響を受けるが、1910年に未来主義運動に参加し、分割主義的な手法による『ブールバール』『モニコのパンパン踊り』などを発表する。その後、ブラックやピカソキュビスムコラージュなどの技法に関心を寄せるが、1920年代には古典主義への回帰をみせ、シローニらの「ノベチェント派」に近づき、『静物』(1923)などを描く。しかし、1940年代にはふたたび新立体主義的作風に戻り、幾何学的抽象の傾向を示す。いくつかの彫刻や、ダダの影響を受けた鋼鉄歯車ばねなどを利用した立体も制作している。『造形芸術論』(1936)をはじめとする重要な著作がある。

小川 煕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セベリーニ」の意味・わかりやすい解説

セベリーニ
Severini, Gino

[生]1883.4.7. コルトナ
[没]1966.2.27. パリ
イタリアの画家。 1900~01年ボッチョーニとともにローマの G.バルラのもとで学ぶ。 06年パリに定住スーラの影響で点描主義 (→点描法 ) に向う。 09年「未来派宣言」に署名。 10年頃からキュビスムの影響が現れ,著書『キュビスムから古典主義まで』 Du Cubisme au Classicismeを出版した 21年頃まで作品の基調となる。 12年頃未来派の動的表現が顕著となり,14年初めて抽象的構成が現れる。 22年フィレンツェ近郊でフレスコ画を制作してから壁画,モザイクに興味を示し,作風もマチスの影響を受けて装飾的傾向が強まる。 35年ローマ・クアドリエンナーレで,50年ベネチア・ビエンナーレで受賞。晩年は抽象絵画に向った。主要作品『タバラン踊りのダイナミックな象形文字』 (1912,ニューヨーク近代美術館) など。

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百科事典マイペディア 「セベリーニ」の意味・わかりやすい解説

セベリーニ

イタリアの画家。コルトナ生れ。ローマでバラに学んだのち23歳でパリに赴き,生涯のほとんどを同地ですごした。ボッチョーニらと未来派の運動を興し,ピカソブラックとの交友からキュビスムの影響も濃く受けた。のち古典的な作風に移ったが,晩年には抽象画も描いている。著書に《キュビスムから古典主義へ》(1921年)がある。
→関連項目バラ

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改訂新版 世界大百科事典 「セベリーニ」の意味・わかりやすい解説

セベリーニ
Gino Severini
生没年:1883-1966

イタリア未来派の画家。コルトナに生まれる。ローマでバラG.Ballaに学んだのち,23歳でパリに赴き,生涯のほとんどをそこで過ごす。スーラの点描主義を学び,ピカソやブラック,アポリネールとも親交を結ぶ。1910年〈未来派画家宣言〉に署名するため彼をミラノに招いたボッチョーニらに,フランスの新しい美術の動向を伝えた。《モニコのパンパン踊り》(1910)は未来派の傑作の一つとされるが,のちには未来派のダイナミズムの追究よりもキュビスムの分析的な表現に向かった。著作に,《キュビスムから古典主義へ》(1921),自伝(1946)などがある。
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世界大百科事典(旧版)内のセベリーニの言及

【未来派】より

…この運動はF.マリネッティの《未来派宣言》(1909)に端を発する。次いでボッチョーニセベリーニ,バラGiacomo Balla(1871‐1958)たちが1910年に《未来派画家宣言》をミラノで発表,マリネッティを指導者として,従来の芸術文化のあらゆる旧弊を破って,新しい未来社会の機械と速度のダイナミズムを礼賛した。当時の多くの若いイタリアの芸術家がこれに賛同して,過去のアカデミズムの破壊を目的とし宣言を発表しつづけた。…

※「セベリーニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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