日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボッチョーニ」の意味・わかりやすい解説
ボッチョーニ
ぼっちょーに
Umberto Boccioni
(1882―1916)
イタリアの画家、彫刻家。レッジョ・ディ・カラブリアで生まれ、1901年ローマに移住し、バッラに師事する。パリ、ロシアなどを旅したのち、07年にミラノに定住する。この時期には分割主義的技法によって近代的工業都市を主題に描く(08年の『ポルタ・ロマーナの工場』など)。さらに分離派の象徴主義やムンクの表現主義に傾く。10年「未来主義画家宣言」にマリネッティらとともに署名し、以後理論的にも未来派運動の中心的存在となる。『上昇する都市』(1910・ニューヨーク近代美術館)に続く精力的な制作において、多くの面の重層的空間、形象と環境の空間的一貫性という命題を追究した。11年以降、彫刻の制作を開始する(『空間の連続性における単独の形態』1913・ミラノ近代美術館)。また「未来主義彫刻技術宣言」をはじめとする数多くの論文がある。15年兵役に服し、翌年ベローナで不慮の死を遂げた。
[小川 煕]