日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャーチ石」の意味・わかりやすい解説
チャーチ石
ちゃーちせき
churchite-(Y)
イットリウム族希土の含水リン酸塩。結晶学的には石膏(せっこう)と同構造であることで知られる。自形は柱状、針状あるいは板状結晶が放射状集合を構成するが、皮膜状のものが多い。産状では堆積(たいせき)性層状鉄鉱床・花崗(かこう)岩質ペグマタイト・熱水鉱脈鉱床など、まったく異なった産状をもつことで有名である。日本では京都府京丹後(きょうたんご)市磯砂(いさなご)鉱山(閉山)の花崗岩ペグマタイト中に産するフェルグソン石の分解物として少量を産する。日本では花崗岩質ペグマタイト中以外の産状は知られていない。堆積岩中の生成には地下水の循環あるいは生化学的に堆積岩や土壌から溶出されたリン酸分と希土類元素化合物が関与している。
堆積岩中のものの共存鉱物は銀星石、バリシア石、ラブドフェン、クランダル石、モナズ石、水酸燐灰石(りんかいせき)、赤鉄鉱、針鉄鉱など。本鉱は白色皮膜状のものが多く、細粒の場合には観察同定は困難である。層状鉄鉱石中のものは水酸燐灰石と区別できない。命名は最初にこの鉱物の化学分析を行ったイギリスの化学者アーサー・ハーバート・チャーチArthur Herbert Church(1834―1915)にちなむ。
[加藤 昭 2017年9月19日]