日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュジャルダン」の意味・わかりやすい解説
デュジャルダン
でゅじゃるだん
Félix Dujardin
(1801―1860)
フランスの動物学者。機械技師、図書館員、地質学と植物学の教師を経て、1834年ごろより顕微鏡による研究に従事、1840年レンヌ大学動物学教授となる。原生動物や節足動物の研究があり、有孔虫が軟体動物ではなく原生動物であることを示した。原生動物の研究から、細胞内生活物質に注目し、細胞において本質的に重要なものはこの物質であるとしてサルコードsarcodeと命名した(1835)。これはのちになって植物細胞の中身に対してつけられたプロトプラスマprotoplasmaと同一のものであることが明らかとなった。したがって彼は、原形質protoplasm(a)の実質的な発見者であるといえる。主著に『植虫類、滴虫類の博物誌』Histoire naturelle des Zoophytes, Infusoires(1841)がある。
[村上 彰]