1815年ウィーン会議によってつくられた,ドイツ諸国(自由都市を含む)の連合組織。15年5月の〈ドイツ連邦規約〉に基づき,〈ドイツの内的安全と個々のドイツ諸邦の独立および不可侵性の維持〉を目的として39ヵ国で結成。連邦の機構はその後20年のウィーン最終規約等により,連邦権力を強化する方向で細目の規定を得たが,加盟諸国の国家主権は不可侵であり,連邦は最後まで諸邦連盟にとどまって一つの連邦国家には発展しなかった。連邦の中央機関としてはフランクフルト・アム・マインに連邦議会(連邦各国政府の代表者会議)があるのみであり,オーストリアが恒常的議長国としてこれを指導したが,連邦基本法の改正についてはすべての国が拒否権を有するような制度,また特にオーストリア,プロイセン両大国の存在は,連邦全体の統一行動を著しく困難ならしめた。しかし反面,両大国が一致して行動する限り他の中小国はそれに従わざるをえない面もあり,実際カールスバート決議にはじまる連邦の保守的結束は,オーストリア宰相メッテルニヒの保守的指導がプロイセンの協調に支えられて実効をもったのである。両大国の保守的協調の下で自由主義とドイツ統一運動の抑圧機構となった連邦は,48年の三月革命によって方針の転換を迫られたが,時流に対応できぬまま同年7月に自ら解散。革命の失敗後,51年5月に再興されたが,革命前の両大国の協調はもはや再現せず,連邦はむしろ両大国の対決の場になっていく。60年代に入るとドイツ統一を求める国民の運動の広がりの中で連邦も改革を迫られ,両大国の争いも連邦改革の主導権争いという形をとるが,最後は66年の普墺戦争で結着がつけられ,プラハの講和条約(1866年8月)で連邦は解体した。新たに北ドイツ連邦が組織されて,これがドイツ統一の基礎となった。
執筆者:坂井 栄八郎
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1815~66
ウィーン会議の結果,オーストリア,プロイセン,バイエルン,ザクセン,ハノーヴァーなど35の君主国と4自由市で構成された全ドイツ的組織。ドイツ連邦は各国の代表からなる連邦議会をフランクフルトに持ち,オーストリアが連邦議会の議長としてヘゲモニーを握ったが,各国はそれぞれ独立国としての権能を持っていた。三月革命の際ドイツ統一の主導権はフランクフルト国民議会に移り,連邦は無力化したが,革命後復活し,プロイセン‐オーストリア戦争の結果1866年のプラハ条約によって解体した。
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神聖ローマ帝国解体とナポレオンによるドイツ諸侯国統廃合のあとを受け、1815年ウィーン会議で創設されたドイツ諸国の連合組織。オーストリア帝国、プロイセン王国とほかに四王国、一選帝侯国、七大公国、10公国、10侯国、一地方伯国、四自由市の計39国が加盟し、その機関としてフランクフルトに連邦議会が設置された。連邦議会は、議長国オーストリアによって統一ドイツ国家実現の運動を抑圧する機関として利用され、ウィーン体制期には自由主義的統一運動を弾圧した。その後ビスマルクが登場すると、プロイセン中心のドイツ統一に反対した。そのため1866年プロイセン・オーストリア戦争においてオーストリアが敗北するとともに連邦も崩壊した。
[岡崎勝世]
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…ウィーン体制はこのような方向に対して,政治的かつ思想的に歯止めをかけようとした復古的分立主義であった。
【ドイツ連邦の成立】
ウィーン会議の結果,1815年6月8日に,34の主権を持った侯国と四つの自由都市によって〈連邦議定書〉が調印され,〈ドイツ連邦〉が成立した。しかしこれは統一されたドイツ国家ではなく,ドイツ諸侯がその主権を保証し合う君主同盟であって,統一よりも分裂の原理の勝利を意味した。…
…ナポレオンに対する解放戦争でプロイセンが主役を演ずることができたのは,こうした改革のたまものである。 しかし,いったんナポレオンによる支配から解放されると,メッテルニヒの〈ウィーン体制〉のもとで,プロイセンはウィーン会議後結成されたドイツ連邦における政治的反動の一翼を担い,国内における改革もユンカーの勢力挽回によって頓挫を余儀なくされた。西南ドイツを中心に立憲君主制が連邦諸国で実現されつつあるこの時期に,プロイセンは,オーストリアと同様,憲法も国民代表機関としての議会ももたず,絶対主義的な統治体制を固持しつづけた。…
※「ドイツ連邦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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