ドレーク海峡(読み)ドレークかいきょう(英語表記)Drake Passage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡
ドレークかいきょう
Drake Passage

南アメリカ南端のフエゴ諸島と,南極半島の北約 150kmに連なるサウスシェトランド諸島の間に広がる幅約 800kmの海域で,西の太平洋と東の大西洋を結ぶ。中央部がやや浅いが,平均水深約 3400mの深い水域で,最深部は 5000mに達する。海底堆積物は南極大陸からの氷河砕屑物,生物性堆積物,南アメリカ大陸の浸食によって生じた土砂などから成り,南緯 58°付近には多数のマンガン団塊分布。表層部の平均水温は北部6℃,南部-1℃で,海面冬季に南部を中心に海氷におおわれ,氷山も出没する。偏西風帯にあって,海上では通常毎時 20~40kmの西風が吹き,時速 70km以上の強風が吹くことも珍しくない。 16世紀後半に活躍したイギリスの海賊 F.ドレークにちなんで命名されているが,この海峡を最初に通過したのは,オランダ人 W.スハウテンで,1615年のことであった。ドレークは 1578年,大西洋からフエゴ島北のマゼラン海峡を通って太平洋に出たが,嵐によりフエゴ諸島南端のホーン岬のあたりまで吹戻された。 19世紀および 20世紀初頭,パナマ運河開通 (1914) までは,世界貿易において重要な役割を果したが,強風と海氷のため,当時の船舶乗組員にとっては,この海峡の航行は常に大きな危険を伴った。大型タンカーの出現に伴って,パナマ運河が交通量を十分にさばききれなくなってきているため,今後再び重要な航路として見直される可能性もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡
どれーくかいきょう
Drake Passage

南アメリカ南端、ティエラ・デル・フエゴのホーン岬と南極半島沖のサウス・シェトランド諸島を隔てる幅約800キロメートルの海峡。1578年、イギリスの航海者ドレークが、南太平洋で暴風にあってホーン岬付近に漂着したのち大西洋に出たことから、この海峡の存在が初めて世に知られた。南太平洋側から南大西洋側へ向かう東向きの南極環流が流れている。冬季、海氷が海峡中央部の南緯60度付近まで張り出す。

[松本栄次]

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