なにをなすべきか?(読み)なにをなすべきか(英語表記)Что делать?/Chto delat'?

日本大百科全書(ニッポニカ) 「なにをなすべきか?」の意味・わかりやすい解説

なにをなすべきか?
なにをなすべきか
Что делать?/Chto delat'?

レーニン著。1901年末から02年2月にかけて執筆。当時ロシアでは労働運動高揚とともに、革命運動内で従来のナロードニキ主義にかわりマルクス主義的潮流比重が高まった。1898年にロシア社会民主党が創立されるが、実体は分散した諸グループの集合体であった。またベルンシュタイン主義の影響や理論的未熟さなどで、経済主義とよばれる潮流がマルクス主義陣営内に広く存在した。レーニンはこの著作で党の政治的、組織的統一とその方法を提示した。彼は、第一に、経済主義者が労働者の経済闘争のみにかかわっていることを批判し、政治闘争により専制打倒のための隊列を整えるべきこと、第二に、党は少数精鋭の職業革命家の集団にすべきであること、第三に、組織化の第一歩は全国的政治新聞網の形成であるべきことを主張した。本著は、以降のボリシェビキ党の組織論、運動論の基本となった。

[杉浦秀一]

『村田陽一訳『なにをなすべきか?』(大月書店・国民文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「なにをなすべきか?」の意味・わかりやすい解説

なにをなすべきか
Chto delat'?

ロシアの革命家 V.I.レーニンパンフレット。 1901~02年執筆。副題は「わが運動の痛切な諸問題」 Nabolevshie voprosy nashego dvizheniya。労働者の経済条件改善に必要な政府の立法措置獲得で満足するロシア経済主義を痛烈に批判し,革命的社会主義,マルクス主義政党の基本原則を理論づけている。

なにをなすべきか
Chto delat'?

ロシアの小説家哲学者 N.チェルヌイシェフスキー長編小説。 1863年作。個人利益と社会の利益とを一致させる倫理原則「理性的エゴイズム」によって生きる新しい人たちを描き,社会主義社会理想の姿を若い読者に伝え,行動を励ました。

なにをなすべきか
Was nun?

ドイツの労働運動指導者 F.ラサールが 1862年に行なった演説プロシアにおける絶対専制体制を告発した。

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