にも(読み)ニモ

デジタル大辞泉の解説

[連語]
《格助詞「に」+係助詞「も」》
格助詞「に」に並列・列挙や強調などの意を加える。「ぼくにもわかる」「被害額は数億円にものぼる」
「かばかり守る所に、天の人―負けむや」〈竹取
(「…にも…ない」「…にも…ず」の形で、下に上の動詞の可能形を置き)その動作がどうしてもできない、または、その動作をするのをためらう、という意を表す。「歩くにも歩けない」「笑うにも笑えず困った」
《接続助詞「に」+係助詞「も」》(多く「…うにも」の形で)逆接の仮定条件を表す。「運転しようにも車がない」
《断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「も」》…でも。
「あぢきなきすさびにて、かつ破(や)り捨つべきものなれば、人の見るべき―あらず」〈徒然・一九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘終助〙 (希望の助詞「に」に詠嘆の助詞「も」が付いてできたもの) 動詞の未然形に付いて、他人の行為についての希望を表わす。なも。
※万葉(8C後)一九・四一七八「一人のみ聞けばさぶしもほととぎす丹生(にふ)の山辺にい行き鳴か爾毛(ニモ)
[補注]未然形につく確例はないが、「なも」の異形と見て未然形につくとする。
[1] (格助詞「に」に係助詞「も」の付いたもの)
① 場所・時・対象・比較の基準など、格助詞「に」の意味に、添加や許容などの「も」の意味が加わったもの。
※万葉(8C後)四・五三一「梓弓つまびく夜音の遠音爾毛(ニモ)君が御幸(みゆき)を聞かくし良しも」
② 尊敬の対象となる人物を主語として表わすことを避け、間接的に尊敬の意を表わす。…におかれても。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「帝、春宮にもいとになく思す御笛の師なれば」
③ (推量の助動詞「む(ん)」「う」を受けて) 「…する時でも」「…うとしても」の意の仮定の逆接条件を表わす。「渡ろうにも橋がない」
※足利本仮名書き法華経(1330)二五「おほきなるひのあなに、をしおとされむにも、かのくんをんを、ねんせんちからに、くはきやうへんして、いけとなりなむ」
④ 「…にも…れず」など、同じ動詞を重ねた形で、遂行できない躊躇(ちゅうちょ)のさまを表わすのに用いる。
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「折々名残惜しげに、傾く日影を見返っては、起つにも起たれぬ気色であったが」
[2] (断定の助動詞「なり」の連用形「に」に係助詞「も」の付いたもの) …でも。
※万葉(8C後)一五・三七二七「塵泥(ちりひぢ)の数爾母(ニモ)あらぬ我れ故に思ひわぶらむ妹がかなしさ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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