日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネナシカズラ」の意味・わかりやすい解説
ネナシカズラ
ねなしかずら / 根無葛
[学] Cuscuta japonica Choisy
ヒルガオ科(APG分類:ヒルガオ科)の一年生つる草。イタドリ、クズ、ヨモギなどさまざまな植物に寄生する。地上に生えたあと、つるを伸ばして寄主に巻きつき、寄生根を寄主の維管束に挿しこむと根を失って寄主から養分を摂取し、成長する。つるは黄褐色、鱗片(りんぺん)葉がある。8~10月、小さな白色花を穂状に集めて開く。花冠は鐘形で5裂し、花柱は1本。丘陵から山地の川原や野原に群生し、日本全土、および朝鮮半島、中国、アムール地方に分布する。漢方で種子を「菟糸子(としし)」と称し、薬用とする。
ネナシカズラ属は世界に約200種、日本には帰化したものも含め5種分布する。寄生生活をする植物で、ネナシカズラ亜科に属すが、ネナシカズラ科Cuscutaceaeとして独立させる考えもある。
[高橋秀男 2021年6月21日]