ノーランド(読み)のーらんど(英語表記)Kenneth Noland

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノーランド」の意味・わかりやすい解説

ノーランド
のーらんど
Kenneth Noland
(1934― )

アメリカの画家。カラー・フィールド・ペインティング色彩の場の絵画)の代表作家の1人。ノース・カロライナ州アッシュビルに生まれる。ブラック・マウンテン大学でアルバース、デ・クーニングらに学ぶ。1948年ヨーロッパに赴き、パリでザッキンに師事。帰国後モリス・ルイスに会い強い影響を受け、53年ごろからロウ・カンバス(地塗りのしてないカンバス)に絵の具をしみ込ませた絵画を制作する。61年以降、ストライプによる同心円や山形モチーフとしたり、広い色面に水平のストライプを並列する画面を、類似あるいは対比する色相によって描く。近年は表現主義的な表現へ変化している。

 ノーランドは、ルイスほど空間にかかわらず、ステラほど還元的ではなく、その中間に位置する画家といえる。

藤枝晃雄

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノーランド」の意味・わかりやすい解説

ノーランド
Noland, Kenneth

[生]1924.4.10. ノースカロライナ,アシュビル
[没]2010.1.5. メーン,ポートクライド
アメリカ合衆国の抽象表現主義の画家。ヘレン・フランケンサーラーの影響を受け,モーリス・ルイスとともに地塗りをしないキャンバスに,薄めた絵具をしみこませる技法を開発した。色鮮やかな同心円や平行線を方形長方形のキャンバスに描き,両者が一体化するスタイルを完成させた。アシュビルのブラック・マウンテン・カレッジで美術を学び,パリで彫刻家オシップ・ザッキンに師事した。1949年,パリで初の個展を開いた。また,研究所や大学などで教鞭をとった。作品は,ニューヨーク近代美術館,ロンドンの現代美術館テート・モダン,チューリヒ美術館の永久保存作品に選ばれた。

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