ハイドロマグネサイト(読み)はいどろまぐねさいと(その他表記)hydromagnesite

デジタル大辞泉 「ハイドロマグネサイト」の意味・読み・例文・類語

ハイドロマグネサイト(hydromagnesite)

水苦土石

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイドロマグネサイト」の意味・わかりやすい解説

ハイドロマグネサイト
はいどろまぐねさいと
hydromagnesite

マグネシウムの含水塩基性炭酸塩鉱物。俗に水苦土石ともいう。不確実であるが、より高位の水化物があり、これらとともにハイドロマグネサイト群を構成する。自形は尖端(せんたん)のとがった単斜柱状~板状。伸びの方向に平行に条線が発達するが、普通は皮膜状、凝乳状、集落状のものが多い。超塩基性岩中に細脈をなし、また苦灰岩質炭酸塩岩中に脈をなす。これらのような岩石あるいは玄武岩などの中に発達する洞窟(どうくつ)内の堆積(たいせき)物や壁面上着生物としても産する。日本では超塩基性岩中のものとしては千葉県安房(あわ)郡鋸南(きょなん)町下佐久間から、苦灰岩中のものとしては岩手県宮古市根市鉱山(閉山)から確認されている。

 共存鉱物は方解石苦灰石あられ石、アルチニ石artinite(化学式Mg2[(OH)2|CO3]・2H2O)、ブルース石、パイロオーライトpyroaurite(Mg6Fe3+2[(OH)16|CO3]・4H2O)など。同定は自形が出ていれば容易であるが、皮膜状などの状態になっていると識別がむずかしい。類似鉱物のハイドロタルカイト劈開(へきかい)面上の光沢真珠光沢、アルチニ石は自形を取りやすく、針状結晶が放射状集合をなすことが多い。命名は化学成分およびマグネサイトとの類似性による。

[加藤 昭]


ハイドロマグネサイト(データノート)
はいどろまぐねさいとでーたのーと

ハイドロマグネサイト
 英名    hydromagnesite
 化学式   Mg5[OH|(CO3)2]2・4H2O
 少量成分  Ni
 結晶系   単斜
 硬度    3.5。もろい
 比重    2.25
 色     白~無色
 光沢    ガラス。集合したものは粒度によって絹糸,真珠あるいは土状と変化する
 条痕    無
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android