水酸化マグネシウムの鉱物。ブルース石系を構成する。自形は六角板状。繊維状をなすものもあり、変種名nemaliteがある。超塩基性岩、とくに橄欖(かんらん)岩起源のもののなかに脈をなす。また苦灰(くかい)岩起源のスカルン中に産する。また変成層状マンガン鉱床で、高品位マンガン鉱石中に著量のMnOを含む変種が知られている。
日本では超塩基性岩中のものでは、高知県南国(なんこく)市岡豊(おこう)で蛇紋(じゃもん)岩中に粗粒の結晶の集合からなる脈として産するものが知られ、苦灰岩起源のスカルンのものとしては、岩手県宮古(みやこ)市上根市(かみねいち)および花原市(けばらいち)から確認されている。
共存鉱物は方解石、あられ石、苦灰石、繊維蛇紋石、葉蛇紋石、リザード石、ハイドロマグネサイト、アルチニ石artinite(化学式Mg2[(OH)2|CO3]・3H2O)など。
同定は一方向の完全な劈開(へきかい)、低い硬度。劈開片は撓(とう)性があり、真珠光沢をもつ。繊維状のものは弾性がある。ケイ酸分に富む鉱物とは直接共存しない。命名は最初にこの鉱物を記載したアメリカ・エール大学の物理学者兼鉱物学者であったアーキバルド・ブルースArchibald Bruce(1777―1818)にちなむ。
[加藤 昭]
…白色板状の軟らかい鉱物。水滑石(すいかつせき),ブルース石とも呼ぶ。化学成分Mg(OH)2だが,Mgの一部をFe2+,Mn2+などで置換することがあり,その場合,灰・淡緑・淡青色を呈する。…
※「ブルース石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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